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株式会社スリーマインド  『人財』の可能性に魅了された『戦うお嬢様』!

◆取材:綿抜 幹夫 / 文:小川 心一

 

尾崎理恵写真(原稿用)株式会社スリーマインド 代表取締役 尾崎理恵氏 (おざき・りえ)…昭和47年岡山県倉敷市生まれ。平成9年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年株式会社リクルート入社。平成13年創業。生家は学生服の大手・菅公学生服株式会社を経営している。

「すごい会議」導入であなたの会社は劇的に変わる!

経営者にとって、それまで培ってきた方法を変えるのは難しい。ましてや功成り名を遂げた経営者ならばなおさらだ。しかし、そういう硬直した経営が企業を停滞させ、衰退させることが間々ある。そんな経営者の問題を目から鱗の手法で解決するのが、株式会社スリーマインドの提唱する『すごい会議』だ。尾崎理恵社長に導入の経緯を伺おう。

お嬢様は行動派!

『お嬢様』。たぶん、尾崎社長は幼い頃からこう言われるのを嫌っていたことだろう。だが、どうしたって醸しだす雰囲気は『お嬢様』なのだから仕方がない。決して世間知らずという意味合いではなく、育ちの良さの問題だ。

しかし、並みのお嬢様とは発想力や行動力の桁が違う。常に考え、アクティブに動く『戦うお嬢様』。そんな形容がピッタリくるのかもしれない。

その並みではない行動力は学生時代から発揮されていた。

 

「大学入学の年に現皇太子妃の小和田雅子さんがご結婚されました。ミーハーだった私は、ライシャワー氏に中学生の時から憧れていたことも重なり、外交官になろうと心に決めまして。2年間ほどそのための勉強もして、先輩を頼って外務省にアルバイトにも行きました。ところが、そこはイメージとは全く異なる現場で、外交の意思決定をしている場所ではなく、少々退屈に見えてしまったんです。それはそうですよね。学生のアルバイトが出入りするところですし、実際は重要な外交意思決定がなされていたとしても学生の私には見えるはずもありません(苦笑)。若かった私は、そこは何かを決めて動かせる場所じゃないと感じてしまった。結局、外交官になるための勉強も止めてしまいました」

思い立ったらすぐ始め、違うと判断すれば即座に次の道を見つける。まさに行動派の面目躍如である。だが、次に注力したものも『並み』ではないのだ。

「学業とは別に、ジャズ研でヴォーカルをやっていまして、勉強そっちのけで歌の活動にのめり込んだのが3年生の頃でした」

ジャズヴォーカリストとして身を立てようと思われたかは定かでないが、今でも大学OBのビッグバンドでヴォーカルを担当し、年に数回はステージに立っているそうだ。

 

お嬢様イラスト

そんな尾崎社長も就職の季節を迎え、就職活動を開始した。

「家業は創業160年の学生服メーカー(菅公学生服株式会社)で、企業経営を身近に感じていたものですから、いつか事業を興したいと考えるようになっていました。そこで、まずは社会に出て知識や経験を得るためにも就職しようと考えたんです。最も興味があったのが株式会社リクルートでした」

様々なジャンルの情報サービスを手掛けるリクルート社。その頃はすでに『リクルート事件』やバブル期の後始末が終わり、手広く事業を展開していた時期でもあった。もちろん、学生からも高い人気を得ていた一流企業である。

 

「私は1997年卒業で、いわゆる就職氷河期の真っ只中にいました。希望していた株式会社リクルートには何度も面談に行きましたが、まだ内定も出ないうちから、人事担当者に『30歳までには独立します。私が日々会いたいのは中小企業の経営者なので、人材総合サービス事業部以外には行きません』なんて図々しく主張したりして。まあ、ここまでの生意気を言ってしまったら、落とされても仕方がないとは思っていましたが」

会社側もこの豪胆さに感じ入ったのだろう。希望は叶った。

 

「新入社員の通過儀礼とも言える新規開拓の仕事がスタートでした。人材ビジネス=採用、教育、コンサルティング、派遣、斡旋等々、人材の問題解決は我が社にお任せください、という営業です」

そこで、多くの中小企業の経営者と出会い、企業の状況を肌身に感じた経験が、現在の仕事に大いに活かされているに違いない。

「所詮は飛び込みのソルジャー営業。いくらリクルートの知名度があってもそうそう歓迎されるわけもありません。10件以上も続けざまに追い返されると心も折れかかりますが、1日に100件も飛び込めば、中にはお茶まで入れてねぎらってくださる経営者もいらっしゃいましたし、その中の何人かは1カ月以内に注文をくださいました。効率はさておき、動かなければ何事も始まらないと肌で感じた経験でした」

 

社会の荒波にもまれながら、仕事のノウハウや心構えを貪欲に吸収していった尾崎社長。

「リクルートの中で、働く感覚が身につきました。とりあえず動く。動いた先で感じる。そうして何より感じたことは、『人』が企業を創っているということでしたね。経験を積むごとに、飛び込んで行った先の会社が儲かっていそうだとか、従業員に元気があるなとかを感じることが出来るようになっていきました。そして何よりも、経営者の想いや信念、考え方や意思決定力が、その会社の文化をつくり、人の可能性を活かしたり活かさなかったりする。リーダーの意思決定力に強く興味を抱いたのは、この頃からでした」

 

その後、予定通り独立起業を果たす。しかし、現在の事業に到達するには回り道もあった。

「あるご縁で、アパレルのライセンスビジネスとヴォーカルスクールの経営をやりましたが、やはりどんな事業でも成功の鍵は『ビジネスモデル』と『人財』だと強く確信し、2001年に創業。人材教育開発事業をスタートしました。最初は個人事業の延長線上程度の、数社を相手とした小じんまりとしたものでした」

小さな船の大いなる旅立ち。誰にも負けない志を胸に、大海へとこぎ出した。

 

 

「すごい会議」は本当にすごかった!

 

 

人材育成や研修といったジャンルは、決して新しい事業ではない。古参・新参、大小入り乱れての厳しい競争が待っていた。

「一般的な人材教育研修事業は、いわばタレント事務所と似たようなところがあります。我が社も講師の先生を40人以上抱えていますが、クライアントのオーダーにあったプログラムを組み立て、相応しい講師を派遣する。事業の仕組みそのものには全く新味はなく、差別化は非常に難しいと言えますね。よほど特徴のあるプログラムでない限り、結局講師の質が一番の差別化かもしれません」

 

転機は2007年、ある手法との出会いだった。

「今、私が全身全霊をかけて広めようとしていることは『すごい会議』というマネジメント手法で、私が知る中では最もシンプルな、今まで可能でなかったことを可能にするためのやり方です。実際、このやり方で私自身が進化し、今まで出来なかったことが出来るようになりました。何よりも、クライアントが短期間で進化し、〝業績向上〟など定めた目標を達成するのを目の当たりに出来ることが、何よりの喜びです」

 

では、そんな劇的に会社を変革させる『すごい会議』とはどんなものなのだろうか。

「経営陣が本当に手に入れたい環境とモノを明確にし、それを何としてでも手に入れるための経営のやり方の一つです。我々は、今までのやり方で達成できる目標は、目標とは言いません。出来ることしかやらないチームには進化が起きないと信じているからです。志が大きいほど、大きな問題がいくつも出現しますが、どのようにして組織の問題解決能力を高めるのかというと、やり方は一つ。今までの能力では解決できない問題に『取り組まざるを得ない』状況に組織をおくこと。今会社に存在する問題は、リーダーが許し続けている問題ですから、リーダーの意思決定力が大いに発揮されます」

確かに、あの野村克也元監督も『リーダーの器以上に組織は大きくならない』との自説を述べている。社長が大きくならなければ企業も大きくはならないだろう。

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「『すごい会議』は、①チームに存在する問題を前向きに明確にして、②共有共感のもてる短期的で明確な目標を決めて合意し、③役割分担とマイルストーンとコミットメントをつくって合意してアクションを起こし、④一見解決しなさそうなタフな問題を解決し続ける……という手順で進めていくのですが、実はこれって、経営ではあたりまえのこと。要は、あたりまえのことをあたりまえにやる仕組みなんです。

でも、これをやり続けているチームは意外と少ない。出来ない理由や問題に対する意見をプレゼンし、会議の時間を費やしているチームが多いかもしれません。『すごい会議』には、お作法とスピリッツも含めルールがあります。約束を尊重する、前向きな雰囲気で会議をやる、リーダーを始め全員が本気な状態でいる、全員がアイデアを出す、出来ない理由よりどうしたら出来るのかを考える、出来るだけ愉快にビジネスを進める……等々。いつも私は、このセッション(会議)は、クライアントに何億円の価値を生むだろうかと考えながらやっています」

 

そんな尾崎社長に、最近嬉しいことがあったという。

「あるクライアントの経営者から『いやぁ、尾崎さん、この会議でメンバーがやけに積極的になって温度が上がってきた。まず僕自身、この会議がなかったらこんなにコミットしてなかった。これを徐々に全社に広げて、僕の大きなビジョンを絶対達成させますよ!』と言われたんです。こういう言葉を聞くと、どうやって彼らの更なる成功に貢献しようかと、私自身のエネルギーレベルも上がりますね」

経営者の変化。これは進化と言い換えてもいいかもしれない。企業を次のステージへと導くのは、この進化に他ならない。

「『覚悟』を持って本気で『挑戦』すれば『進化』は必ず起こせる、と私は信じています。『すごい会議』に私がコーチとして参加することを通じて、クライアント経営者と経営陣がどこに行きたいのかを明確化し、『合意された志』をつくる。そして、一緒に新たな経営のデザインをして、一見解決しなさそうな問題を解決し続ける、進化し続ける。これが私の仕事です」

人材教育や経営マネジメントに対しての数々の経験を積み上げ、大きな志を持っている尾崎社長ならではの矜持であろう。

「人事制度を変え、従業員教育のやり方も変えた。給与テーブルを変えた。ITのシステムも改善した。さらに営業部長も新しく迎えた。つまり色々変えた。でも、何も違いが起こっていないという会社があります。新たな成長や進化をチームに起こすには、構造を変えなければ難しい。それは、経営陣自らの考え方や動き方かもしれないし、社員全員のスピリッツかもしれません。自分たちの会社が抱える現実とは何なのか。少なくとも、それをしっかりとテーブルに乗せて、リーダー陣営に何か変革が起こらなければ始まらないのです」

 

『すごい会議』実施例を見ると、日本を代表するような大企業が数多く名を連ねている。それだけの実績を上げているマネジメント手法であることは疑いようがない事実なのだ。もちろん、その効果は企業規模とは全く無関係で、多くの中小企業でも導入されている。

「この7年間、色々な企業の方がそれなしでは得られない成果を手にするのを目の当たりにしてきました。企業は、それぞれ異なる環境やバックグラウンドを持っていますので、確実にうまくいくかどうかはわかりません。ただ確信をもって言えることは、試す価値のあるトライだということです」

一度きりの人生、喜びを感じるためには、挑戦し、努力し、ビジネスで成功すること。尾崎社長が自ら実践して得たこの貴重な体験が多くの企業に広まれば、日本の企業経営が新たな段階へと進化するのかもしれない。

 

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●株式会社スリーマインド

〒107-0052東京都港区赤坂9-1-23 クレース檜坂4F

TEL 03-3403-2277

http://www.3mind.co.jp/

 

2014年4月号の記事より

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尾崎社長と同じく、慶應義塾大学OB同士の対談。将来は、知の獲得も瞬間的に完了する、ということすら夢物語ではなくなってきている気がします。もっと自由に働く場を選べたり、好きな知識を得られたり、好みの身体能力を拡張できたり、ということが可能になった時に、人間として何が大事になってくるかというと、二つあると思っています。

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