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SECエレベーター株式会社 |さあ登板だ!新社長に訊く 感謝の心を自らの役割に替えて しっかり、着実に、皆さんの期待に応えたい

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さあ登板だ! ~SEC株式会社新社長に訊く~

感謝の心を自らの役割に替えて しっかり、着実に、皆さんの期待に応えたい

◆取材:綿抜幹夫 /撮影:周鉄鷹

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 エレベーター保守管理大手、SECエレベーター2代目社長 西村裕志氏

具志堅用高氏のCMで知られるエレベーター保守管理大手のSECエレベーター(東京台東区)が、創業(1967年)以来初めての大胆な人事を敢行する。裸一貫の個人企業から社員数約1000人、年商130億円のリーディングカンパニー(独立系としては断トツの首位)にまで引き上げてきた鈴木孝夫社長が会長兼CEOに就き、西村裕志専務が二代目社長に就任する。今月(9月)予定されている株主総会で正式に決定する運びだ。さっそく西村氏を直撃、その人物像を探ってみた。ひと言でいうと、極めてユニークな経歴と冷静な判断力の持ち主である。とくとご吟味ありたい。

 ※この記事は2013年9月号に掲載されたものです。

 

まずは20億円の売り上げ減をカバー

今回の人事の眼目は、15年ほど前から同社がじっくり育ててきた再生可能エネルギー部門と、LED照明機器部門を新会社(新エネルギーサイエンス)に移し、グループ全体として、エコロジー&エコノミーという時代のニーズに沿った、ある種のリストラクチャリング(企業再構築)と言っていい。エレベーターの保守管理はもちろん、ここ数年好調なリニューアル事業から派生する、様々なオフィスビルの省エネ需要に、ワンストップでまるごと応えようという意欲的な試みである。新会社の詳細については次の機会に譲るとして、まずは西村氏が二代目社長を引き継ぐことになった、SEC本体の今後の事業展開から話を進めたい。

 

「たいへんな大役を仰せつかったというプレッシャーもなくはないですが、幸いにして社長(ここではまだ創業者の鈴木氏を社長として表記する)が上におられますからね。その都度、僕は僕の役割と課題をしっかり見定め、しっかり果たしていきたいという気持ちで、今はいっぱいですよ」(西村氏、以下同)

さしあたっての課題は、 「今後カウントされなくなることで減る売上高をどうカバーしていくか。まずはこれを一番に考えています」

これまではSEC本体の売上高に反映されてきた太陽光発電機器関連の約20億円が、今回の分社化によってスッポリ抜け落ちることになる。何とか今年度のうちにその分を、専門のエレベーター部門できちんと稼ぎ出したいということだ。目算は、

 

「もちろん僕なりに立っています。リニューアル事業がたいへん好調でしてね。今後企業の設備投資が活発化するに連れて、当然ながらリニューアルの需要も、徐々にですが拡大する方向に進むと思われます。問題はその需要をどう取り込むかですが、そのための戦略を今、一生懸命に走りながらもじっくりと練っているところです。少なくとも準備に怠りはないですよ(キッパリ)」

ちなみに同社が2012年度に受注したエレベーターのリニューアル件数は、対前年度比で実に4倍にも上ったという。まさに天気晴朗。順風を満帆に受けての大いなる船出と言って、差し支えあるまい。

 

 

息子の小学校入学と同年に大学入学

それにしても奇特な人である。都内の高校を卒業し、業界最大手の三菱電機ビルテクノサービス(本社/東京丸の内)に入社。一貫してエレベーターの品質管理と、AOTS(海外技術者研修協会)の支援を受けて来日した、外国人研修生らの教育指導に携わっている。要するに早くから周りに認められ、着実に地歩を固めてきた、エレベーター業界の若きホープと言っていい。その氏に転機が訪れたのは、30歳を目前にした1988年のことだ。

 

「アメリカの現地法人で新たな事業を展開するというので、その要員にエントリーしたんです。それまでの実績が認められたと思いますが、ほどなくOKの内示が出ましてね。さっそく当時幼稚園児だった息子の転園手続きとか、海外移住に関する様々な手続きをあらかた済ませたんですよ。ところがいよいよという段階になって、いきなり会社からNOを宣告されたんです。理由は学歴でした。大学を出ていない社員は海外に出せないと言うんです。ある意味でそれまでに経験したことのないショックであり屈辱でした。悔しいったらなかったですよ」

凡庸な男ならここは穴を捲るところだ。しかし氏はそれをしない。ではどうしたか。

 

「コンチクショーって気持ちもありましたけど、どうしても海外勤務をしたかったんですね。じゃあ今からでも大学に入ってやろうと思い、猛勉強を始めました。最初は家内もビックリしましてね。でも僕の気持ちを率直に話したら、最後は『分かったわ。応援する』って言ってくれたんです」

ちなみに猛勉強の甲斐があって、受かったのは青山学院大学(経営学部)である。

 

「息子の小学校入学と、僕の大学入学が同じ年になっちゃいましてね(笑い)。でも今思うと、そもそもが無茶な話ですよ。家族は守んなきゃいけない、勉強はしなきゃいけない。案の定、両立できなくて三菱を辞めることになっちゃいました」

結婚後、初めて迎えたピンチである。絶体絶命の窮地と言っていい。しかしこの人は自分でも何度か口にしたが、よほど恵まれた星の下に生まれてきたのだろう。そんなときに手を差し伸べてくれた人が、実は、

 

「ウチの社長だったんです。SECの下請け会社をやらないか、その合い間にアルバイト社員としてSECで働けばいい、とまで言ってくれましてね。涙が出るほど嬉しかったことを今も鮮明に覚えています。その後も物心両面からいっぱい助けていただきましたし、今もそうですが、入って3年も経ったころには、一生この人に付いて行こうって心に決めたものですよ」

 

 

規模や資金力に係わりなく、人も会社も一流になれる

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ピンチをどうにか切り抜けた氏は、しかし思いもしない現実を目の当たりにして、またもや大きなショックを受けることになる。自他ともに認める業界のホープの筈が、

「SECに入ってみたらまるで素人同然なんです。三菱で培った僕の技術やノウハウが、ここではまるっきり通用しないんですよ。多種多様なメーカーのエレベーターを扱っていますから、どこにも応用の利く高いレベルの技術力が要求されるんですね

 

他にもスピード感に溢れた即応力や丁寧な顧客対応など、かつて〝殿さま商売〟をしていた頃には考えもしなかった新たな課題が、次々に見えてきたと氏は当時を振り返る。

唐突で恐縮だが、氏の座右の銘は「一生勉強」と、「志しを高く持てば必ず現実になる」という二つの言葉だそうだ。いずれもSEC入社当初から徹底して叩き込まれ、骨の髄まで染み込まされたという、鈴木社長の訓えである。

どこよりも優れた技術力と高いCS(顧客満足度)を、可能な限りリーズナブルな価格で提供するというのがウチのポリシーですからね。そうなると結局は人の心と人の力なんですよ。これは会社の規模とか資金力に係わりなく、一人ひとりが常に意識し、切磋琢磨し合うことで、人も会社も一流になれるということを意味しています。SECに入って間もなく四半世紀になりますけど、その意味では本当に中身の濃い、意義のある歳月を過ごさせていただいたと感謝しています。その感謝の心をこれからの僕の役割に替えて、しっかり、着実に、皆さんの期待に応えていきたいというのが、今の僕の率直な気持ちですね」

最後まで謙虚な姿勢を貫きながらも、心に秘めた決意の強さは痛いほど感じ取れた。筆者としては当分、この人から目が離せそうにない。

◆取材:綿抜 幹夫

 

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プロフィール

にしむら・ひろし氏…1959年、東京都生まれ。都内の高校を卒業後、三菱電機ビルテクノサービスに入社。長らく品質管理と外国人研修生の教育指導に携わる。30歳で青山学院大学(経営学部)に入学。ほどなく三菱を辞めて独立、SECエレベーターの下請け会社社長と、大学生の二足の草鞋を履く。42歳のときに突然、「社長から正社員になれと言われて」正式に入社。代表取締役専務を経て、現在に至る。

●SECエレベーター株式会社

〒110-0016

東京都台東区台東3-18-3 SECビル

TEL 03-3833-1398

http://www.secev.co.jp/

 

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