株式会社セルパワー – 法律に消された発明品。医療費削減に繋げたい「人類を救う装置」と言われた機器
法律に消された発明品。医療費削減に繋げたい「人類を救う装置」と言われた機器
株式会社セルパワー/代表取締役社長 佐々木耕司氏
超高齢化社会を迎え、増大し続ける国民医療費は、国の財政の大きな負担になっている。
しかし数十年も前に、ある発明を残した天才科学者がいた。
今回はその発明と、彼の意思を受け継ぐ株式会社セルパワーの佐々木耕司代表取締役社長に話を伺った。
◇文:菰田将司
「人類を救う装置」と言われた機器
健康機器「セルパワー」を販売している㈱セルパワーの佐々木社長は、ご自身が発明家でもあり、自らの特許を用いた情報通信関連のベンチャーを経営していた経歴を持つ。
現在でも、佐々木社長が開発したソフトが韓国サムスン電子に提供されていて、世界中のサムスン製品に搭載されている。
そんな佐々木社長が、なぜ今、健康機器の販売に心血を注いでいるのだろうか?
「20年ほど前に、このセルパワーを発明なされた政木和三先生をご存知でしょうか?
先生は戦前、大阪帝国大学で工学系の全ての学科を学び、後に工学部工作センター長まで務められた方です。
2002年にお亡くなりになりましたが、電気炊飯器や瞬間湯沸かし器、歯科治療ドリル等、生涯で1000件以上の発明をしながら、一切特許料を受け取らず、電機メーカーに無償で技術を提供していました。
そのため、電機メーカーから『もし先生が特許料を取っていたら数千億の利益を得たはず』と言われたのだそうです」
そう話す佐々木社長は、青年時代から政木先生のファンで、先生が講演する時には足を運んで熱心に耳を傾けていたという。
その講演の中で、先生が開発した「神経波磁力線発生装置」という健康器具が出てきた。これが、後にセルパワーとなる装置だった。
「先生の発明品だから、ということで買ってみたんです。当時、自分は若かったので健康器具は必要なかったんですけど(笑い)。
それで、自分の身の回りで病気に苦しんでいる人に貸してみました」
借りた人は腫瘍を患っていたのだが、装置を使った結果、なんと腫瘍が無くなってしまったのだという。それを聞いて佐々木社長は驚いた。
「その人に、心から感謝されました。まさかこんなことがあるなんて、と。それで凄い発明だ、と思ったんです。もちろん、医学的な因果関係は不明ですが」
では、神経波磁力線発生装置というのは具体的にはどういうものなのだろう。発明者である政木先生の著書では以下のように説明されている。
「大阪大学工学部から医学部に移り、人間工学のテーマであった神経系と私の専門の電気系の研究から、人間の神経信号である『二相性活動波形』と同じ発振出力の波形をつくることに成功した。
……(中略)……(この波形を)『神経波』と私が名付け、この名称は現在でも一般的に使われている。
……(中略)……発明者の私でも考えも及ばなかった効果を発揮しているようである。より健康になったというのから、病気が回復したという人までいろいろあった。
つまり、『人間の肉体の悪い場所を自然に健康な状態に戻していく』という働きがあったのである」(政木和三著『未来への発想法』より)
同じ著書の中で、利用した人から1000件以上のお礼の手紙が届いた、とも書かれている。
しかし、これほどの反響がありながら、これが多くの人の手に届くことはなかった。
「効果が話題になればなるほど、どうしても薬事法に触れてしまう宣伝文句で売られることになる。
当時は代理店を通して販売していたのですが、代理店は手っ取り早く数を売るために、どうしても効果を謳うようになった。
その結果、販売中止に追い込まれてしまったのです」(佐々木社長)
薬事法の下で
自身のベンチャーを好調に経営していた佐々木社長が神経波磁力線と再会したのは、平成24年のことだった。
「あの時に感謝されたことが忘れられなくて、今どうなっているのか探してみたら、平成9年に薬事法違反で発売できなくなった後、神経波磁力線に忠実な機器は販売されていない。
それで、これはどうにかしないと、と思ったのです」
薬事法違反にはなったのだが、警察が調査したところ、効果が無く「詐欺」被害にあったという人は一人もいなかったのだという。
「だから、販売中止にしないでくれという声が多数、警察に寄せられたそうです。
笑い話ですが、調べた警察から逆に『なんで医療機器として認可を取って販売しなかったんだ』と怒られた。
捜査した方も、そんなに効果があるんなら、自分も1台欲しかったぐらいだ、と言ったとか」
ならば忠実に同じ磁力を発生する機器を開発し改めて認可を取ろう、と考えた佐々木社長だったが、認可を得るためには驚く程手間とカネがかかることが分かった。
「3年で数億円、しかも必ず認可が取れるとは限らない。医療機器の認可というのはそういう世界だというのを知った。
それで、そんなにカネを掛ける必要はあるのか、非医療機器のまま、法に触れない説明をしながら販売していこう、と決めたんです」
そういう経緯で、新たに開発されたセルパワーは、大々的に広告も出さず、効果についても奥歯にモノが挟まったようなことしか言えずに販売されているのだが、その計り知れない反響のほどは、20年前と何も変わっていない。
セルパワーは機器を体の上からあてるので、特に体の表面近くにある臓器などに影響する可能性がある、と話す佐々木社長。
セルパワーの源は、発する磁力の波長が人体と同調しているところにある。「これによ り、細胞が活性化し自然に健康な状態に戻していく」(前掲書)。
結果、様々な影響が期待されるのだ。
また、同様の仕組みで、欧米で既に使用されているTMSがあるが、これは人体に強い刺激があり、長時間の使用は難しい。
その点、セルパワーは人の神経の波長に近く、刺激が無い。
「1回30分の使用が目安なのですが、人によっては2、3時間使われている人もいます。
以前はこういう反響についてお客様から寄せられた声をHPに掲載していたのですが、今は止めています。弁護士からは掲載OKと言われたのですが、相談に行った役所からNGと言われて。
違法ではないが、広告のガイドラインとしてはダメだと。そういう複雑な世界みたいですね。
また販売中止にされてはセルパワーを待っている人に申し訳ないので、指導を受け入れました」
それらの声の中で特に注目されるのが腎臓病だ。
腎臓病はその臓器の特徴が故に投薬治療ができない場合が多く、ついには人工透析になってしまう。
透析患者は毎年約4万人増加し、また毎年3万人が亡くなっているともいわれる。また透析には年間約500万円もの治療費がかかり、しかも長期にわたって続く。
震災などの緊急時の、透析患者の救護が課題になっている現実もある。
もちろん、高額の医療費には補助制度があるが、その出所は税金だ。
現在、国の予算における医療費の割合はGDPの11%を超え、2020年には60兆円を超すという試算がある。
「新規の透析患者が増えなければ、年間で1000億の医療費の削減をすることができ、増大し続ける医療費を減らす一助になる」
そう話す佐々木社長。
見せていただいた利用者のデータでは、腎臓の機能低下によって上昇し、下げるのが非常に難しいクレアチニンの数値が、僅か8カ月で半数以下になっていた(もちろん、医学的な因果関係は不明ではある)。
セルパワーが普及すれば、心身の不安から人を救うことができる、と佐々木社長は自信を示す。
「今までは年間で500台くらいしか売れていなかった。しかし、もっと売れるようになれば利用者は喜ぶし、国の医療費削減につながるかもしれません。
1000万台、4世帯に1台セルパワーがある世の中になればいいと思っています。
それが『この装置は人類を救う装置だ』と言われた政木先生の願いを叶えることになると思いますから」
人の幸せのために、政木先生が生み出したものでありながら、法律によって隠されていたセルパワー。
先生の意思を受け継いだ佐々木社長によって、今また、光が当てられようとしている。
●プロフィール
佐々木耕司(ささき・こうじ)氏…1963年広島県生まれ。1989年3月 京都大学工学部卒業後、同年4月情報通信関連ベンチャーを創業。携帯電話用の直感的情報検索機能の提供サービスを軸に事業を展開。1996年4月 株式会社ジェイデータに組織変更。2008年6月 T.N.Gテクノロジーズ株式会社を設立。2014年に株式会社セルパワーを設立して、代表取締役として現在に至る。
●株式会社セルパワー
〒600-8468 京都市下京区住吉町50 井筒左女牛ビル3F
TEL 075-341-3323
◆2017年6月号の記事より◆