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福祉社会への扉を開く、福祉コンサルタント 株式会社ワンダフルライフ代表取締役清水勇耶氏

 

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福祉社会への扉を開く、福祉コンサルタント

株式会社ワンダフルライフ代表取締役清水勇耶氏

◇文:菰田将司

オビ ヒューマンドキュメント

ワンダフルライフ (1)

清水さんは福祉事業を始めようとする人に様々なアドバイスを行っている。「福祉事業は間違いなく成長していく業界。そこにこれから参入しようとする企業をサポートしたい」と話す清水さんに話を伺った。

 

「全部やってみた」

株式会社ワンダフルライフは、介護タクシー事業を始め、介護用品のレンタル・販売、更に福祉用住宅の改修工事など、様々な介護・福祉の事業を行っている。

これらに加えて今では、これから福祉事業を開業したいと思っている人へのコンサルティングまでも行っているという。

 

なぜ、これだけ手を広げることになったのだろうか。

「スタートは介護タクシー業でした。一台のタクシーを私が運転して。高齢者や障がいを持つ、いわゆる外出困難者が利用する介護タクシーは、当時も今も大忙しで、常に人手不足の状態です。とはいえ、スタートしたばかりだと知名度が低く、初月の収入は3000円でした(笑い)」

しかし、需要過多の時流に乗って、二ヶ月目・三ヶ月目と順調に業績を伸ばし、一年経つ頃には300万円ほどの利益を上げられるようになった。

「しかし、一台で走り回っていては時間が限られてしまい、どうしても頭打ちに。だから二台目を購入して、事業を拡大しました。しかし、その時はまだドライバーがいなかったので、私の母に免許を取ってもらいドライバーをしてもらっていました(笑い)」

 

こうして福祉介護事業に参入してきた清水さんだったが、彼のモットーは「より多くの人を幸せにしたい」。一台また一台と台数を増やし、事業が安定してくると、会社の収益を向上させるために、新しい事業を考えるようになった。

「第一には、社員の収入を上げたい!と考えたからです。介護タクシー業は、安定しているけれど、大幅な利益アップにはならない。一台につきドライバー一人が必要ですからね。だから、社員の給料をアップさせるためには、自分が外で仕事をしてこなければならない」

こうして清水さんは福祉事業の様々な分野に足を踏み入れた。その結果、おおよその福祉関係の仕事の仕組みを理解できるようになったという。

 

得た知識を伝え広める

様々な仕事をしていくうちに、業界に潜む意外な問題が目に入ってきた。

「今後、右肩上がりに伸びることが予想される福祉業界。そこに参入したい、と思っている会社は、じつは多いんです。しかしそのような会社が共通に抱えている問題が『そもそも、業界にどうやって入っていったらいいのか』という事です。

 

福祉業界には、国や自治体からの助成金など、様々な制度があり、それを利用することで利益を出すことができる。また、例えば社会福祉法人として得た利益に対しては、所得税や法人税の非課税などの優遇措置が設けられている。

これらは全て、今後の高齢化社会を見据えて、参入業者を増やすために設けられた制度だが、逆にそれが、複雑に見られる原因になり、参入に尻込みさせることになっているのも事実だ。

 

平成19年には、当時福祉業界の大手コムスンが管理義務違反・介護報酬の不正請求を摘発されて、撤退するという事件も起こっている。それだけ複雑で、不正もしやすい業界ということだ。

「利益が出た年に、今がチャンス、福祉事業を始めよう、と思っている企業が、じゃあどこから手をつければいいのだろう、と考えた時に『清水さん、ソッチの業界、詳しいでしょ?教えてもらいたいんだけど』。そういう質問に答えているうちに、それが仕事の一つになっていました」

人材派遣等で知られる株式会社パワーステーショングループが福祉事業を始める時も、清水さんに助言を求められたという。

 

「パワーステーショングループのある子会社の社長が『人のためになることがしたい』とグループの代表に話した時、『福祉関係ならいいよ』とおっしゃってくれたそうで、その時に、人づてに私のことを知って訪ねてきた。そこで話が盛り上がり、二度目の面談ではグループの代表もご一緒にいらっしゃって「私たちは利益を追い求めるだけでなく、実際に社会貢献がしたいという思いから福祉事業を行う『笑みくる(エミクル)』という子会社を立ち上げたい。」とお話していただきました。

その時、実際に現場で困ってしまうのが、介護保険の枠の外のサービスだから、私たちでそのへんをカバーするような仕事をしていこう、と三人で話がまとまった。で結局、清水さん全部お任せします、と。「こんなこともあるんだなあ、と思いましたね」と話す清水さん。

コンサルティングを事業にするようになって一年ほど。こちらの事業も軌道に乗り始めているという。

 

「口コミで徐々に広がっていますね。福祉コンサルティング、なんて仕事をしている人も珍しいようで、重宝されています。自分も、様々な介護サービスをやっていたので、どんな会社が人に選ばれ、喜ばれるのかを知っている。そういう強みがありますね」

 

業界の誤解をなくす

最近では、さいたま市大宮区にある、地域に根ずいたゼネコンと共同で有料老人ホームの賃料を無料にできないか、と計画しているという。

 

「そもそも、有料老人ホームは高すぎるんです。あれでは利用者の負担が大きすぎる。だからハードルを低くする。そのために、利益を上げている企業が老人ホームを建てて、そこに利益を投入してそこで完結させちゃう。税制の優遇などを利用して、税金分をそうして消費することで利益の再分配をそこで止めてしまう。そうすれば、施設は企業からお金をもらって運営できるし、利用者の負担も少なくなる。三者がトクをする構造を作ることができるのではないかと話していた」

そう話す清水さんに、福祉事業を始めたいと思う人たちへアドバイスをしている理由を伺った。

 

「まだ働ける!という人が、訪問介護を始めたり、介護タクシーを開業しようとするのをお手伝いできるのは楽しいですね。それに、介護の業界の人はみんな優しいんです。利益を独り占めしよう、なんて思っている人は見たことがない。逆に、業者間の横の繋がりがとても大事。自分の手が回らない仕事を融通し合ったり、というのがよく行われている」

介護福祉業界が慢性的に抱えている人手不足の問題。それを解決するためには、新規参入してもらうのはとても大事なんです、と清水さんは話す。

 

「そうやって門戸を開いて、多くの人に介護福祉の仕事に携わってもらうことで、今までただ汚い・給料が安いというイメージしか持たれず、若い人が来たがらなかったこの業界も変わっていける、と考えています。これからどんどん高齢化していく日本の将来を考えたら、福祉介護は切っても切れない問題。その手助けができれば満足です」

 

平成12年から24年までの12年間で、要介護認定者は218万人から533万人に増えた。今後十年で、それは800万人を超えると推定されている(厚生労働省調べ)。市場規模も現在の10兆円から、20兆円にまで拡大するという予測もある(朝日新聞)。

そんな状況に対し、従事者もまた現在の153万人から更に100万人の雇用増が見込まれるが、ネックになっているのが、その高い離職率だ。平均5年ほどで、ほとんどの人が業界を離れていっている現状がある。

「より多くの人を幸せに」という、清水さんの思いを受け継ぐ企業が福祉業界に増えていけば、日本は、これからの高齢化時代を乗り切ることができるのではないだろうか。

 

オビ ヒューマンドキュメント

株式会社ワンダフルライフ

埼玉県川口市南鳩ヶ谷7-40-6

主要営業所(事務所)埼玉県川口市辻134-10

http://w-wonderfullife.com/

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