次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

日本自動ドア株式会社 ‐ 中核となる価値観〝コア・バリュー〟で社内を一つに!

 

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日本自動ドア株式会社 ‐ 中核となる価値観コア・バリューで社内を一つに!

◆取材:加藤俊

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日本自動ドア株式会社 吉原二郎 氏

日本自動ドア株式会社 吉原二郎 氏

 

社名が示す通り、自動ドアの会社である。創業は昭和41年。当時、小さな町工場だった当社は、約半世紀を経て全国に拠点を持つまでの成長を遂げた。

そこで今日は、二代目社長である吉原二郎氏に、日本自動ドア流の経営方針や手法、独自の社員育成方法を御聞きしてきた。成功している企業は何が違うのか。とくとご覧いただこう。

 

北海道から沖縄まで27拠点。あえて分社化はしない、そのワケとは?

自動ドアと言えば、現代社会を語るうえで当たり前の装置。誰もがその恩恵に与っているわけだが、その登場は古く、ギリシャ時代にまで遡れるという。二千年以上の遥か昔、アレクサンドリアのヘロンという著名な工学者が神殿の扉を開閉したことが記録されているというから驚きだ。

一方、ここ日本で自動ドアが本格的に使われるようになったのは、ギリシャからは随分遅れた昭和30年代になってから。ちょうどその頃、当社の創業者である現会長、吉原氏の父・吉原利美氏も、できたばかりの東京タワーの外国製の自動ドアを目にして大志を抱いたのだという。

 

「これは必ず普及する。そして、これからの日本の発展に必要なものだ」。内に秘めたる想いに突き動かされて、勢いそのまま起業。利美氏の着眼通り、昭和39年に開催された東京オリンピックを機に、自動ドアは急速に日本中に広まった。

 

 

「当時父が目にした自動ドアは、いずれも外国製のものばかりだったと聞きますが、日本製のものをつくり出して、世の中に普及させたいという野望を抱いての創業でした。最初は自動ドアそのものではなく、自動ドアを足で踏んで開くためのマットスイッチの製造からスタートし、その後自動ドア用エンジンの研究・開発に着手しました。自動ドア本体の量産体制に入ったのは、昭和52年に東京工場を建設した時からです」(吉原氏)

 

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そこから今日に至るまで当社は急成長している。現在では自動ドアの製造・販売・施工・メンテナンス・保守点検まで一社で行うようになった。拠点は北海道から沖縄まで27カ所に及ぶ。我々が普段足を跨いでいる自動ドアも、よく見てみれば、当社JADのイニシャルが至る所で見つけられる。

 

「全拠点を当社のみで包括する体制をとっているのには理由があります。やはり、クオリティの一体化や設置先のお客様・利用者様からの声のフィードバックが一元化できるというのは、大きな利点です。製品の改良に迅速に反映できますし、中間マージンを設定する必要がないので、お客様にとって安くていいものを提供できますから」

 

 

自動ドアで人々を幸せに!それを実現するための理念を明文化

しかし、各拠点を本社のみで管理・統率していくことは容易ではないだろう。全国の各拠点に足しげく通うのは大変な筈。そのため吉原氏が用意したのが、〝コア・バリュー〟という概念。

 

〝コア・バリュー〟とは、社員同士で共有できる会社の中核的な理念のこと。一人ひとりの社員が共有した会社の理念を持つことで、企業として確かな方向感を打ち出せています。実は、その理解を深めるためのツールもあるんです」

 

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そう言って吉原氏が見せてくれたのは、全社員が携えているという手帳。そこには、当社の使命ともいえる理念や価値観が示してあった。例えば、自動ドアの普及によって、人々を幸せにするという使命。具体的には、ドアを手動で開閉することのデメリットをいかに解消するかを考えていくことを指している。

 

 

「普段は、自動ドアって自動的に開いて閉まるから便利というくらいの認識しか思い至りませんが、掘り下げていくと、これが実に奥深い、非常にソーシャルな面を持っています。例えば病院の自動ドアは、手を触れずに開閉できることで、院内感染の予防につながる目的があります。

 

また、バリアフリーという文脈で、車いすユーザーやベビーカーユーザーに喜ばれる製品づくりも追求していかなければなりません。我々がつくる自動ドアが、どのように社会のためになり得るのかを一人ひとりの社員が追求していく姿勢。こうした意識を全社員で共有できたらと願って、このような手帳を作りました」

 

 

チューター・メンター制度

さらに同社には面白い仕組みがある。入社1~2年目までを対象にした「チューター制度」、3年目以降が対象の「メンター制度」だ。

 

 

「自分がいる支社や支店の人間だけとしか交流がないということにならないように、本社や別の支社の先輩が新入社員のチューターとなります。日々電話やメールで対話を交わし、数カ月に一度は対面する日を設けたり、キャンプなど、仕事以外の場所でも交流できるようにした制度です。

3年目以降は、仕事の面ではもちろん、家庭のこと、結婚のことなど、人生設計に関する相談もできる社内でもレベルの高い者をメンターとして付けて、指導・相談役として活躍してもらっています。例えば家を建てたいけど住宅ローンはどうしたらいいか、結婚を決めたいので、相手に会ってほしいなど、そんなプライベートな相談にも親身になって応じています」

 

吉原氏が、これだけは、ぜひ読者のみなさんに伝えてほしいと最後に語ったのは、「何よりも人」ということ。

モノやサービスで差別化しようとしても、新しいモノは、どんどん登場しては消えてゆき、サービスは瞬く間に真似されてゆく。吉原氏は、長いインタビューをこう締めくくってくれた。

 

「中小企業にとって、一番の競争力になり、一番差別化につながるのは、やはり人。繰り返しになりますが、社員が企業の理念・価値観に心から理解を寄せてくれるようになれば、お客様にも仕入れ先にも良い影響を及ぼし、延いてはエンドユーザーにも喜んでいただけるようになる。それが結果として社会貢献することに繋がりますから」

 

 

メッセージコラム

中小企業は、規模や売り上げのアップだけを目標にするのではなく、社会的な価値を、どれだけ世の中に提供できるのかという視点で仕事をすることが大切だと考えています。
 
売り上げアップや株価を上げて総資産価値を高めようとばかりしていては、人は幸せになれません。それではいずれ社員もついてこなくなりましょう。
 
金銭的価値とは離れた、企業の価値観、つまり「コア・バリュー」がしっかりしていれば、社員も働く目標や意義が持てます。この社員に働く意義を見出させることこそが、経営者に求められる姿勢なのだと思っています。

 

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吉原二郎氏(よしはら・じろう)…1971年埼玉県生まれ。明治学院大学卒業後、日本自動ドア株式会社に入社。代表取締役として現在に至る。NPO法人全国自動ドア産業振興会理事。

 

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日本自動ドア株式会社

〒165-0031 東京都中野区上鷺宮3-16-5

℡03‐3970‐8368

http://www.jad.co.jp

従業員数:200名

年商:22億3,000万円(2012年度)

 この記事は2013年12月号掲載の記事を再構成したものです。
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