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「ママ職」の提案する新しいママの生活スタイル

オビ 企業物語1 (2)

「ママ職」の提案する新しいママの生活スタイル

◆取材:加藤俊 /文:菰田将司

オビ ヒューマンドキュメント

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株式会社Capybara代表 山崎 恵さん

 

「一億総活躍」「女性の社会参画」が盛んに叫ばれているが、とはいえ子育て中のママにできる仕事には条件的に厳しいものも多く、企業も二の足を踏んでいるのが現状ではないだろうか。

しかし、労働人口が減少している日本で、女性の力を家庭に押し込めておくのは余りにももったいない。そんな今、「ママ職」を運営する株式会社Capybara代表の山崎恵さんは、仕事だけ・家事だけではない、「第三のママのありかた」を提唱している。

 

ママたちの力を活用する

小さい子どもを持つ母親を支援するサイト「ママ職」。HPには、「子供と一緒に過ごしながら仕事ができるママの新しい仕事のスタイルをご提案・提供」とある。

「具体的には、企業からアウトソーシングされた仕事を、登録してくれているママたちに提供し、家にいながら仕事をして収入を得てもらおう、というものです」と語る、代表の山崎恵さん。

 

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「仕事の種類は単純作業に分類される仕事が多いです。言い換えれば、企業さまがその作業のために自社の従業員に仕事をしてもらうのは避けたいと思える類の仕事です。領収書の入力や、顧客へのサンキューレターの代行。個人事業主さんの秘書代行や、名刺の入力などの仕事が多いですね」

 

手間ヒマのかかるこういった事務作業に人件費を費やしたくない。かといって正社員にそれをやらせるのは効率が悪い。それでも、社員が残業して作業することを強いているような企業は多いだろう。「そういう負担を軽減することができる」と山崎さんは話す。

 

「現在、ママの登録は1600人ほど。年齢的には、20代から40代前半。0歳から3歳くらいの子供を抱えている人がほとんどです。この歳くらいの子供は本当に手が離せない。しかし、家計のことを考えると、何かしらの仕事はしないといけない。

こういう悩みを抱えているママは日本中にたくさんいます。子供を預けてパートに出る、という人も多いのですが、そうなると保育所の代金でパート代が無くなってしまう、なんてこともあります」

 

待機児童が社会問題化して以来、急速に保育園などの託児施設の整備は進められている。しかし、そもそも経済的な問題で入園に二の足を踏んでいる人も多いのだ。厚生労働省のデータでは、子供が4歳を超えてから仕事に復帰したママの割合は6割ほどで、小学校に入学してからだと7割を超えている。

だが、子供にまだ手のかかる3歳までは、ママたちは家から出てこられない。家計は苦しいが、何とか子供が4歳になるまで、とガマンして日々を過ごしているのだ。

 

「ですから、在宅で、子供の世話をしながらでもできる仕事を提供しよう、と考えたんです。昼間は家事をして、子供が眠ってから仕事に取り掛かる。子供が寝るのは普通、午後9時くらい。それから夜中にかけての数時間、ママの手は空きます。この時間にお仕事されているママが多いです」

 

提供された仕事でのママたちの収入は月数千円から多い人で8万円ほどだが、子供の世話をしながら自分のリズムで収入を得られるというメリットは大きい。

 

ママを雇うとき、企業が心配するのは、急に子供が熱を出したなどの理由で仕事のシフトに穴を開けられてしまうことだ。それはママたちも同じで、だからパートに出られないと考えている人も多い。しかし子供のそばにいながら仕事ができるのであれば、そんな不安はない。

 

しかし、家で仕事をしていても、子供の世話が忙しく仕事が間に合わなくなってしまった、ということはないのだろうか?

「仕事を頼んでくれる企業さんもそれを心配していると思います。なので、私たちは必ず数人ずつチームを作って仕事をしています。トラブルはどうしても起こってしまうもの。もし、チームの誰かにトラブルが起こっても、周りがカバーして、期日通りに仕事を完成させてもらう。だから企業も安心です」

 

「ウチのセールスポイントはチームで仕事をすることで生まれる責任感と、何より、ママ特有の、仕事のきめ細やかさ、マジメな仕事。やるべきことを、実直にすぐにやってくれる。そういうところも企業から信頼されている所以ですね」と山崎代表。サイトをスタートさせてから3年を経て、ママたちを助けたいという思いは、確実に実現していっている。

 

母一人、子一人

「母が化粧品の代理店をしていましたので、いつか自分も起業したいな、と小さい頃から思っていました。父と離婚してから母一人、子一人の生活。そんな中、母は必死で働いて私を育ててくれました。幸いにも、母の事業は成功して、不自由ない生活をさせてもらいました。そして大学に在学中に、自分も事業を始めようと思ったんです」

 

最初に始めたのが、母と同じ化粧品代理店の事業だった。

「母の姿を見て学んだのは、成功するためには、諦めずに一生懸命やり続けることなんだな、と。そのおかげで大学を中退して始めた事業も、ある程度成功することができました。その後、2008年に研修・コーチングの会社『株式会社メキキ』に参加し、セミナーなどの講師をしました。

その研修に関わる中で、自分本位で仕事をしているとどうしてもモチベーションに左右されてしまう、そうならないためには『志』を持って仕事に取り組まなければならない、そして『志』とは、人のために何かをすることだ、と感じたんです」

 

セミナー講師として順調にキャリアを積み、仕事にもやりがいと楽しさを感じて充実した日々を過ごしていた最中、妊娠に気づいた。

「妊活もしていたので、もちろん嬉しくはあったのですが、仕事も軌道に乗っていた時期でもあったので『上司に何て言おう』と悩みました。結局、臨月まで働いて退社。出産後、子供が3歳になるまでは自分で育てようと思っていたのですが、仕事をしたいという自分の気持ちを抑えきれず、娘が1歳の時に社会復帰しました。

そうしたら、3カ月間毎日、出勤のときに子供が保育園で大泣きするんです。その泣き声に後ろ髪引かれながら、仕事に向かう。毎日、罪悪感を抱きながら仕事をしていました。ちょうどその頃、友人も妊娠して退職していて。

二人でコストコに買い物に行く途中の車の中で、毎日ヒマなんだよね、なんて話になって。『だったら一緒に起業しようか』と(笑い)。その時はこの仕事のイメージは全くなかったのですが、コストコから帰って夜に一人で考えていたら『自分たちと同じようなママたちを助けよう』という考えが頭に浮かんできたんです」

 

 

ママたちの仕事のアイデア募集

ママには、最初は企業HPの更新作業など初歩的な仕事をしてもらい、能力や仕事の丁寧さを見て、それから段々お客様とやり取りをするような仕事を任せていく。また、各チームにはマネージャーを置いて、ママ同士で仕事のチェックをする。現在、マネージャーの数は12〜13人程だそうだ。

 

ママたちの登録者の数は順調に伸びているようだが、今後の可能性は?と尋ねると、

「起業家は一人のマンパワーでできることには限界があります。しかし、そういう仕事をママ職を使えばもっとできるんだ、ということを多くの方に知ってもらいたいです。だから、今まではこれしかできなかったことが、ママ職を使えばできる!というアイデアが欲しいですね。

今、当サイトは開設してから3年経ちました。そうすると、小さかった子供たちも小学生位に育っている。ママたちも、ずっと家にいたくない、外で仕事をしたくなっている。そういった層のママたちにも最適な仕事を提案できるようにしたいですね。色んな年頃の子供を持つママに提案できる。妊娠したら、取り敢えずママ職に登録する、そんな流れを作っていきたいです」

 

 ご自身も6歳と4歳になるお子さんを持つ山崎代表。インタビューの中でも、再三「ママたちのため」という言葉が出てきた。

「ママたちの文化を作っていけたら本望かな」

そういう山崎代表の言葉に、女手一つで育ててくれたご自身の母への気持ちが見え隠れしていた。

 

オビ ヒューマンドキュメントプロフィール/山崎 恵(やまざき・けい)

2003年 自分で事業をやるため上智大学経済学部を中退。

2003年から5年間サプリメント等の営業販売を代理店として行い、年間30万ドルを売り上げ300人の組織をつくる。

2008年 研修・コーチングの会社、株式会社メキキよりプロジェクトリーダーとして引き抜かれ、2年間人の人生に違いを創る研修に没頭し、出産を機に退職。

2010年 第1子、女の子を出産。

2012年 第2子、男の子を出産。

2013年 ママが子供のライフスタイルに合わせて働ける世の中を創るべく、株式会社Capybaraを設立。現在に至る。

 

株式会社Capybara(本社・事務所)

〒107-0062 東京都港区南青山2-22-14 フォンテ青山408

http://www.mamashoku.com/

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