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合同会社いとへん – 代表は女性2人!? 武蔵野・多摩エリアをプロデュースする地域貢献企業

オビ 企業物語1 (2)

代表は女性2人!? 武蔵野・多摩エリアをプロデュースする地域貢献企業

◆取材:富樫のぞみ/文:五十川正紘

オビ インタビュー

合同会社いとへん

 

共同代表制にしている理由とは?

女性2名が共同代表を務め、東京産木材を使った製品販売、メディア編集・企画、コワーキング・イベントスペース運営の3事業を展開している合同会社いとへん。女性2名の共同代表制という企業は珍しい。なぜ、そのような組織体制を選んだのか、その背景について、同社共同代表を務める安田知代氏(写真左)と、小田原澪氏(写真右)にうかがった。

 

 

仕事も経営も責任も、平等な組織をつくりたい!

─まずは、事業内容についてうかがいたい。

〈小田原さん〉

3つの事業を展開しています。1つ目は、東京産の木材を使った製品ブランド「SMALL WOOD TOKYO」です。その製品の中でも、既存の床に敷くだけで無垢の木材のフローリングになる「敷くだけフローリング」は、多摩信用金庫主催「多摩ブルー・グリーン賞」特別賞や、林野庁後援「ウッドデザイン賞」奨励賞を受賞するなど、多方面から高い評価をいただいています。

 

合同会社いとへん_表彰製品が高く評価され、数々の賞を受賞している

2つ目は、雑誌やWebサイトなどのメディア編集・企画です。2人とも、当社設立前から、編集、執筆の仕事をしていましたので、その経験・スキルを活かしています。

 

3つ目は、ビジネスコミュニティ「シェアビズみたか3337」の運営です。こちらは、コワーキングスペースとイベントスペースの機能を備え、当社がある、ここで運営しています。「SMALL WOOD TOKYO」のショールームも兼ねているため、内装・什器にはスギ・ヒノキをふんだんに使っています。

 

─なぜ、共同代表制という体制にしたのか?

〈安田さん〉

仕事も、経営も、責任も、どちらかに片寄らず、平等にしたかったからです。そのため、当社は合同会社制にしました。合同会社の場合、社員一人ひとりを「代表社員」として登記することもできます。当社の社員は私と小田原の2人だけですが、2人とも代表社員でもあります。

複数人による共同代表制の組織のよいところは、メンバー一人ひとりが、物事を広く・深く考えるようになることだと思います。代表取締役をトップに、経営陣や管理職がいて、その下に一般社員たちがいる……というのがよくある企業組織です。

一方、共同代表制の場合、一人ひとりが、「代表」という肩書き通り、「自分も会社の代表として仕事・経営に携わっているし、それだけの責任もある」という意識が持てます。そうなると、自分自身だけのことではなく、より幅広く、そして、より深く考えて行動できるようになると思います。また、誰か一人に大きな負担がかかるようなこともなく、それが理想的な組織と言えるのではないでしょうか。

合同会社という形態の企業は多くはないと思いますが、最近は、トップダウン型の株式会社制に行き詰まりを感じている企業もあるのか、合同会社が増えてきているようにも思います。大手スーパーの西友や、Apple Japan社も、合同会社だったりしますし。ちなみに、「合同会社」という言葉の響きも気に入っています(笑い)。

 

〈小田原さん〉

当社の立ち上げ時は、メンバーは私たち2人と、もう一人、男性のデザイナーの3人だったんです。その後に、もう一人のメンバーが加わって、4人体制になりましたが、私たち以外の2人は、一昨年に独立しました。以後、安田と私の共同代表制になりました。

今の当社の組織形態は、私たちにピッタリだと感じています。仕事の面だけではなく、出資額も平等です。コミュニケーションも自然と密になり、大きなことから小さなことまで、以前よりもよく話し合うようになったと思います。

 

 

社名変更で「編集の会社」をアピール!

─昨年7月に社名変更をされているが、その理由は?

〈小田原さん〉

先程、お話ししたようなメンバー変更もあり、再スタートの意味で、昨年7月、社名を「いとへん」に変更しました。「いとへん」という名前は、〝編集〟の「編」の字が由来です。「編」を、偏と旁に分けて読むと……「いとへん」というわけです。つまり、「うちは編集の会社です!」というアピールを意図した社名なんです。

 

 

意外! 山林整備に貢献

─「SMALL WOOD TOKYO」の製品が多方面から高評価を得ているということだが、その理由は?

〈安田さん〉

製品としての利便性と同時に、それ以上に評価されているのは、東京産木材を使っていることです。東京都は2006年から「花粉発生源対策事業」として、山林の伐採に力を入れていますが、その伐採対象となっているのは、実は、1950~1960年代を中心に推進された植林事業で大量に植えられたスギやヒノキです。

つまり、東京都の山林整備を推進するには、伐採されているスギやヒノキの利用を促進する必要があり、社会的な課題になっているのです。そのような背景から、「SMALL WOOD TOKYO」の取組みは評価されているのです。

「SMALL WOOD TOKYO」の製品は、東京産のスギやヒノキを、東京の製材所で加工し、東京・三鷹にある当社がお届けする、純東京産の木製品です。

 

 

ビジネスコミュニティを育成!

─「シェアビズみたか3337」はビジネスコミュニティということだが、詳細をうかがいたい。

 

合同会社いとへん_シェアビズみたか3337同社の拠点であり、「SMALL WOOD TOKYO」のショールームも兼ねている「シェアビズ3337」

〈安田さん〉

「シェアビズみたか3337」では、会員を「オーガナイザー」と呼んでいます。オーガナイザーとは、英語で「organizer」で、日本語に訳すと「主催者」です。もちろん、運営は当社ですが、ただ場所を借りるだけではなく、「自分ではできないことを、この場をシェアする仲間と一緒にやることでパワーアップしたい!」という方に使ってもらいたいので、「オーガナイザー」と呼んでいるのです。

月1回の「オーガナイザーミーティング」で、それぞれの事業の進捗や知恵を共有し、使い方やルールも話し合いながら改善していきます。

このように、お互いに仲間として協力し、各自のビジネスをより良く発展させていくコミュニティを育てたいと考えています。また、コミュニティへの関わりという意味では、「シェアビズみたか3337」の運営だけではなく、地元・武蔵野エリアのさまざまな地域情報誌づくりに携わっていることも、地域の貢献につながっていると思います。

 

 

武蔵野・多摩エリアをプロデュース!

─御社が携わっている武蔵野エリアの地域情報誌とは? 例えば?

〈安田さん〉

例えば、井の頭公園の魅力や周辺地域情報を発信するフリーペーパー「いのきちさん」です。「いの」(井の頭)、「きち」(吉祥寺)、「さん」(三鷹)の街をもっと楽しむ、というコンセプトで、長年お世話になっている地元の印刷屋さんが発行しています。

この「いのきちさん」に携わるようになったのは、私が以前、その印刷会社さんから井の頭公園のガイドブックを出版したことがきっかけです。そのご縁で、「井の頭公園の開園100周年の2017年まで期間限定でフリーペーパーを発行するんだけど、協力して」とお誘いいただきました。

 

〈小田原さん〉

私の場合は、もともと、大手新聞社の子会社で、多摩エリアの地域新聞の取材記事を書いていました。そして、その当時のつながりをベースに、いまも多摩エリアの地域情報誌の編集・企画に携わっています。

 

〈安田さん〉

また、当社の 「SMALL WOOD TOKYO」の木材は、東京の多摩エリアの山林から伐採されたもので、事業としては武蔵野・多摩エリアを中心にしていて、愛着は深いです。三鷹を拠点に、「武蔵野・多摩エリアをプロデュースしたい!」という想いで、これからも仕事に取り組んでいきます。

 

─取材のご協力、ありがとうございました。

 

 

オビ インタビュー

◉プロフィール

安田知代(やすだ・ともよ)氏

学習院大学文学部フランス文学科卒業、パリ第七大学現代文学科修士課程修了。企業の環境報告書・CSR報告書、地域ガイドブックの編集・執筆に携わったのち、2012年に合同会社++(たすたす)(2015年7月、合同会社いとへんに社名変更)の設立に携わり、同代表社員の一人となる。現在、合同会社いとへん共同代表を務める。

 

小田原澪(おだわら・みお)氏

法政大学文学部地理学科卒業、同大学院人文科学研究科地理学専攻修士課程修了。地域資料のアーキビスト、地域新聞社の記者として活躍。2012年に合同会社++(たすたす)(2015年7月、合同会社いとへんに社名変更)の設立に携わり、同代表社員の一人となる。現在、合同会社いとへん共同代表を務める。

 

◉合同会社いとへん

〒181-0013 東京都三鷹市下連雀3-33-7-701

TEL 0422-24-9583

http://www.itohen.net

 

 

 

 

◆2016年6月号の記事より◆

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