次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

Googleでも集められない物語、あらゆる人生を追体験できる「another life.」(アナザーライフ)

 

オビ 企業物語1 (2)

Googleでも集められない物語、あらゆる人生を追体験できる「another life.」(アナザーライフ)

◆取材:加藤俊 /文:山田貴文

オビ ヒューマンドキュメント

ドットライフ

 

クラウドファンディングで、「大切な人の人生を、一冊の本にするプロジェクトを開始!

「一日だけ、他の誰かの人生を」をコンセプトに、情熱を持って生きる様々な方の人生を紹介するメディア「another life.」(アナザーライフ)が、現在クラウドファンディグで想いをギフトする新しいプロジェクトに取り組んでいる。

 

アナザーライフは、サービス立ち上げから2年の間に、約700名以上の人物の人生を深く掘り下げた記事を掲載している。スポーツエンターテインメントの特別番組TBS「SASUKE」の出演者から、福島県の農家まで、様々な物語を取り上げて、急成長しているメディアである。

 

今回クラウドファンディングで資金集めがされるプロジェクトは、「大切な人の人生を、一冊の本に」する体験ギフトというもの。本サイトには、「あなたの大切な方、ギフトを贈りたい方に、取材をさせていただき、文章にまとめ、本にします。身近な大切な人へのギフトとして、人生の物語を本にしませんか?」という言葉が並ぶ。

 

世界に一つだけの人生の物語を「本」にする。それを大切な人に渡すことで、想いの詰まったギフトになるということらしい。有名人から市井の人まで様々な人の人生を掘り下げて紹介してきたアナザーライフならではの新サービスと言える。3月27日までのプロジェクトとのことなので、興味のある方は、ぜひ下記を覗いてみて頂きたい。

 

アナザーライフのプロジェクト詳細ページ(GREEN FUNDING by T-SITE)

https://greenfunding.jp/lab/projects/1452

 

ところで、一般への認知度も高まってきたアナザーライフ運営元の株式会社ドットライフを創業した新條隼人氏とは何者なのか?

新條ドットライフ新條隼人

今後はライフログとして、新たな価値を創造していくことを目指しているというアナザーライフについて、改めてこのタイミングでお聞きした。

 

 

アナザーライフとは?

「一日だけ、他の誰かの人生を」 というコンセプトを持つアナザーライフ。現在では、1日1人のペースで、様々な人生を追体験できるコンテンツを提供している。

掲載記事には、LINE株式会社の元代表取締役社長・森川亮氏をはじめ、小誌でもお世話になっている株式会社54の山口豪志氏など、多くの方が登場している。

 

山口さんの記事

yamaguchi kizi

 

ただ、他メディアと比べて特筆すべきなのは、福島県在住の農家や、タクシードライバーなどを取り上げている点だろう。なぜ市井の人が?その疑問について「客観的な大きなことを成し遂げているか否か、ではなく自身の生き方に納得感を持つ方の半生のストーリーを配信している」と代表の新條氏は話す。

 

元々、サービスの原点となる考えを持ったきっかけは大学1年の頃。進路講演会のため母校へ訪れ、高校2年生を前に大学受験について語った時だった。目的次第では必ずしも大学に行く必要はなく、選択肢は無数にあると述べ、学生から大きな反響を得た新條氏は「1・2歳しか年齢が変わらないにも関わらず、人がどう生きるかの根幹に価値を提供できたことに非常に驚いたし、嬉しかった」と振り返る。

それ以来、人がどう生きるかの根幹に価値を提供することに人生をかけようと思ったようで、何をするのか、果てはどんな価値を提供するのかに重点を置くようになる。

 

伝統職人の家系で育った少年時代

社会人2年目で立ち上げた同社は「やりたいことをやる人生を、あたりまえに」というミッションを掲げている。社会人時代に世間と自身の境遇を照らし合わせ、とにかく多くの選択肢に触れることで「この選択肢は違う」とか、「これとこれだったらこっちの方が良い」など、比較軸や比較対照を得ることが、価値観の精査に繋がるのではないかという大きい仮説を立てたことが背景にはあった。

 

実は起業することに対して、抵抗がなかったという新條氏。過去を振り返れば、独立や起業について考え始めたのは中学時代だったという。それは父方の家系が和裁の職人、母方の実家が提灯をつくる職人だったことが影響しているのであろう。それに伝統的な仕事にも関わらず、将来は継ぐなと言われていた。むしろ自分のやりたいこと、自分なりの生き方を推奨されていたというのだ。

そういった家庭環境で育ったこともあり、自分で物事を興すことをいつも考えている少年だった。

 

知らない誰かの人生が生む共感

メディアサービスとしての転機は、創業してから半年目だった。社外取締役の紹介を受け、TBS系「SASUKE」との連携で出場者7人の特集を実施。その後の反響は、ただただ凄かった。

海外でも人気を博している番組ということもあり、日本人だけでなく多くの外国人が記事を閲覧しにサイトへ訪れた。日本語が分からない人を配慮したファンが、有志で翻訳をした記事も出回ったという。

 

アナザーライフの記事への反響は多岐にわたる。記事を読んで想いに共感した方が「あなたに仕事を依頼したい」とお客さんになったり、愛知県に住む掲載者に、沖縄の読者が手紙を書いて直接会いにいき、採用に繋がったという事例も。

自身の経験からがんで悩む方に向けた施設を作る取り組みを行っていた、掲載者の鈴木美穂氏は、クラウドファンディングの期間中に記事が公開され、出資額の大きな増加につながったそうだ。これらの事例を通じて、「知らない誰かの人生」が生みうる共感の力に新條氏も驚いたのだった。

 

B TO Bでのタイアップの蓄積

同社は法人やNPO、自治体とタイアップした特集やチャンネルにも力を入れており、人材採用に苦しんでいるタクシー業界の場合は、若い世代に関心を持ってもらうため、20代・30代のドライバーのインタビューをアナザーライフに掲載。

また、福島県塙町の事例で言えば、町民3000人が育てたダリアという花が青山フラワーマーケットの店舗に並ぶフェアの時期にあわせてwebで特集し、実際に農家がどのような思いでダリアを作っているのかを取り上げる形で、青山フラワーマーケットとタイアップしている。

 

作り手のストーリーを小売が仲介して、直接消費者に伝えるという形をマーケティングの手段に、そして自治体側は町おこしとして、PRすることで協力体制を築いているという。

直近では、経済産業省との共同プロジェクトで、同省のイノベーター育成プログラム「始動 Next Innovator」に参加したイノベーターを連載するチャンネルも開設している。

 

そこで今回は、メディアとして新たな領域に挑戦している株式会社ドットライフについて、新條氏に今後の展望などを語って頂いた。

 

 

オビ インタビュー

新條 ドットライフ

 

―着想のきっかけはどういう点にあったのか?

 

「やりたいことをやる人生を、あたりまえに」というミッションで会社を立ち上げ、事業を始めました。大学卒業後、前職のベンチャー企業に就職して、2年目の途中で退職・独立して今の会社を立ち上げたんですが、社会人1・2年目になったときに自分がやりたいことが見つからずに悩んでいる人たちが凄く増えたんです。

「月曜会社行きたくない」とか「キャリアの選択を辞めるために早く結婚したい」、「実家に帰りたい」といった話をする仲間が増えました。

 

そういった、今の環境にもやもやして悩んでいる方が、どうすれば自分自身の納得した生き方に近づけるかを考えました。そして、とにかくたくさんの選択肢に触れることで、「これは違う」とか、「これとこれだったらこっちの方が良い」とか、比較軸や比較対象を得ることが価値観の精査に繋がるのではないかと考えたんです。

そこから「一日だけ、他の誰かの人生を」というコンセプトで、とにかく色々な種類の人生を、追体験できるようなことができないかと考えました。表層的にどんな仕事をしているのかだけでなく、どんな価値観でどんな選択をしてという部分も含めて、手触り感を持って伝えられないかというのが最初です。

 

―大学生時代に起業するわけではなく、就職してからだったのには何か理由があるのか?

 

凄くシンプルですが、自信や覚悟がありませんでした。そこに尽きますね。学生起業家は同世代に結構いたと思いますし、やろうと思えば機会もあったと思います。大学3年の時に就職活動が始まって、自分の目指したいビジョンが明確になっていながらも、それを達成している自分と、大学3年当時の自分にギャップがあったのです。

社会をこうしたいという思いはあるけれど、それを達成できる自分ではない。だから、そのギャップを埋めたいと思い、ベンチャー企業に就職を決めたのが、入社までの経緯になります。

結果論としては、このギャップが埋まる日は一生こないと思ったので、長く働かずに辞めることになりましたが。

 

―それは社会人になった上で、思い描いていたのと違いがあったということか?

 

就職した会社では、例えば新卒一年目からチームのマネジメントを任せてもらうなど、自分の伸びしろを引き出してくれる環境を提供してくれて、信頼もしてくれました。私自身成果を出している実感がありました。ただ、1年目の冬に、会社の従業員として得られる経験やスキルが、0から会社を立ち上げて事業を起こす際に必要なものと完全に対応しないんじゃないかと感じました。

だから「これとこれができたから、起業しても成功する」と思える日が一生こないのではないかと思ったのです。

 

―ビジネスとしてアナザーライフを展開する中で、マネタイズを始めたきっかけは?

 

2014年の年始に自己資金とサムライインキュベートの出資で会社を始めて、翌年にエンジェルからの調達もしています。アナザーライフは、海外の類似モデルもなく、サービスとしての新規性が高いため、売り上げをどう立てるのか、理論ではなく、実績として欲しいとご指摘いただくことが多かったです。

当初はサービス拡大を優先し、その後資産を活かしてマネタイズを行うという計画でいたのですが、先の話もあり、想定より早めに検証を始めました。

 

―海外でこのような同種同様のサービスを展開しているところは?

 

どの側面を切り取るかで異なりますが、こういう、市井の人の生き方を紹介していくという意味では、Humans of NewYorkというメディアはやや近いです。ニューヨークに暮らす人々を紹介するフォトグラファーが作ったものです。フェイスブック一つの投稿にいいねが数百万つくような影響力があります。

最初はこのサイトを参考にしていましたね。等身大の人をコンテンツにして、社会的なメッセージも配信しているんです。

 

―今後の展望については何か考えているのか?

 

最初は狭く、生き方に悩んでいる、20代、30代が次の一歩を踏み出すきっかけになればと思い、事業を始めました。ところが始めてみて、自分たちがしていることが秘めている可能性がその枠に収まらない形で広がり得ることに気づきました。

想定していた以上に「人生をネットワーク上に残すこと」のインパクトが大きかったんです。現在、物事の情報はすごく整理され、体系だって蓄積されています。

それに対し、人がどう考えて、どんな価値観で行動し、どんな感情にいたったのか、という情報については、いわゆる偉人のものしか情報が残っていません。Googleでも取れていない情報なんです。

ただ、先にお話したように、決して偉人や著名人でなくても、その記事を読んで、共感を軸に行動に大きな変化が起こる人がたくさんいます。泥臭く引き出している情報が、まだネットワーク上になく、ここにしかない情報だからこそ、これを貯めていくことの意味がすごく大きいんだなと気付きました。

将来的には広義のライフログとして、扱う情報の幅も広げていきたいと思います。

 

―ありがとうございました。

 

オビ インタビュー

新條隼人氏(しんじょう・はやと)…一橋大学卒業後、株式会社ネットプロテクションズ入社。後払い決済事業の営業グループリーダー、新卒採用担当等を経てドットライフを立ち上げ。「人の生き方の根幹に価値提供する」ことを軸に事業を創造。

 

株式会社ドットライフ

所在地:東京都品川区東品川2−2−28 タチバナビル2階

http://dotlife.co.jp/index.html

社員数:3人

お問い合わせ

本記事に対する、ご意見ご感想をお待ちしております。
BigLife21に対するご感想などもお気軽にお問い合わせ下さいませ。
※メールアドレスが公開されることはありません。

最新号ご案内

詳細を見る »

こちらからご購入いただけます

 

アクセスランキング

立ち読み

「BigLife21」の記事の一部をPDFで立ち読みすることができます。

読者プレゼント

Top