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アート印刷株式会社 – 変化し続ける企業体質を育む「トップと社員の信頼関係」

オビ 企業物語1 (2)

【巻頭特集】ゲンバの声

アート印刷株式会社 – 変化し続ける企業体質を育む「トップと社員の信頼関係」

◆取材:綿抜幹夫 /撮影:高永三津子

オビ ヒューマンドキュメント

アート印刷株式会社(1)

 

東京都港区のアート印刷株式会社。本業の印刷業を軸に、物流など幅広い分野で事業を展開するなどユニークな戦略でビジネスチャンスを開拓する。2013年9月号では有松敏樹社長を取材しその魅力あふれる人物像に迫ったが、今回は神奈川県川崎市に同社のロジスティックスセンターと工場を訪ね、現場の社員たちから自社の強みや展望について聞いた。

 

◉ロジスティックスセンター

〒210-0832 神奈川県川崎市川崎区池上新町3-1-4 GLP川崎内 5階

TEL 044-270-3351

 

■鉄壁のチームワークを生かし、新しいものを模索し続けたい

(ロジスティックス部門・2011年入社・30歳)

 弊社のいちばんの魅力は、社長の人柄です。私は食品関係の営業職から、印刷についてはまったくの素人という状態で転職し、もうすぐ5年になりますが、社長の人柄に感銘を受けて入社を決めました。他社と比べてアットホームな雰囲気も感じました。本業の印刷は印刷として優れたサービスを提供しながら、このロジスティックス部門など幅広いビジネスを展開しているという点も魅力でした。自分も色々なことにチャレンジできるのではないかと思いました。

 

 はじめは営業部門に配属されましたが、お客様との距離感の近さを感じましたし、中小企業ならではのスピード感や機動力は他社に負けない強みだと思います。お客様との打ち合わせの中でかなり厳しい納期、たとえばこれを明日までに修正して印刷してどこどこに納品できないか、といった要望をいただくこともありました。それを社に持ち帰って各部門に話を通すのですが、アットホームで部署間が近い社風があるので、みんなもこれをすぐ出力してこっちに持ってきて、発送グループの人たちもすぐ梱包して出してくれて、という風に、そのときは2日後ぐらいには発送できたんです。お客様にも感謝していただいて、その後の発注にもつながりました。そうしたチームワーク、機動力はすごいなと思います。それを生み出す社風が、社長を中心に確立されていることが強みですよね。

 

 今後も重要なのは、常に新しいものを貪欲に探していくことだと思います。必要であれば他の業界からでもアイデアを取り入れるべきだと思いますし、そういうことを会社全体として行えればどんどん成長できると思います。ぼくら現場部門も、付加価値を生み出せるような仕事をしたいです。ただ荷物を梱包するだけ、発送するだけではなく、付加価値を付けてお客様に提供できるようなアイデアを生み出していきたいですね。

 

アート印刷株式会社(2)

 

■恵まれた人間関係の下、現状で満足しない姿勢を

(ロジスティックス部門・2007年入社・31歳)

 父が印刷関係だったことからこの業界に興味を持ち、いくつかの印刷会社を受けました。アート印刷の説明会で登壇した先輩社員が若い世代だったことなどから親近感を抱き、この会社はなんとなくいいなと思って応募しました。社長と面接を重ねて採用が決まり、営業職への応募でしたので、はじめの2年半は営業部門におりました。ロジスティックスセンターの物流部門が立ち上がったときにこちらに異動になりました。

 

 弊社のいちばんの魅力は人だと思います。隣の同僚が何をしているか、上司が何をしているか、周りの社員が何をしているかが目に見えてわかりますし、話しやすい雰囲気もあります。その中で自分も引っ張っていってもらいたいなという気持ちもありました。

 

 支え合う気持ちと、考え方がみんな長けているというのは率直に感じます。私もはじめ営業にいて、営業から内勤になったときに、営業の人たちがどういう動きをしているから、ぼくたち内勤はこういう動きをしないといけない、と自然に考えられました。営業が困っていたら、ぼくたちが踏ん張って仕事を考えていく、その結果営業がお客様から感謝される、そういう仕組みがうまく回っていけば、会社としてもっと良い方向に行くと思います。個人的な心がけでもあるのですが、「頭の中で営業についていく」というスタンスで動くようにしています。

 

 入社して約10年、当時と今では、たった10年で扱っている荷物がまったく違うことを最近ひしひしと感じます。当時は紙ベースで、紙にいろいろな加工をして納品するのが通常でした。現在は紙よりも立体物が多くなっています。伴って使用する機械も変化し、従来の大掛かりな機械から、最近は小回りの利く機械を使ってピンポイントで納めることが多くなっています。この10年でこれだけ変わったので、向こう10年はどういう風に変わるのかなと、最近はちょっと怖いぐらいに感じます。

 

 20代半ばまでは、毎日の仕事で精一杯だったのですが、ようやくこれじゃいけないなと、もっと先を見越して動こうという考え方になってきました。今やっている仕事で満足せず、新しいことや変化に対してすぐに対応できる余裕、考え方を持っていなければ今後は役に立てないと思いますので、毎日が勉強です。今まで以上に懐の深い仕事、もっともっと色んな仕事をできるようにならなければいけないと思います。

 

アート印刷株式会社(3)

 

■若い力を活用し、変化に対応できる企業に

(ロジスティックス部門・2001年入社・38歳)

 私は絵が好きで、美術品を鑑賞したり、自分で描いたりもしていました。それが印刷業界を志望する動機になりました。業界の複数の企業に応募して、営業職の内定をいくつかいただいていました。そんな中でアート印刷に入社する決め手となったのは、アート印刷だけは生産管理の部署で採ってくれると言われたことです。生産管理は印刷の進行を管理する部署です。自己分析では、自分は全体の計画を立てる司令塔のような立場に向いていると思っていましたので、アート印刷に決めました。

 

 本社採用で生産管理部に丸2年、その後川崎工場に7年ほど、そしてロジスティックス部門に来て6年になります。ここと本社と工場の3カ所での意思疎通のしやすさ、コミュニケーションの取りやすさは感じますね。話しやすい関係になっているので、そこが強みだと思います。

 

 私が考える弊社の魅力は「変化に対応する社風」です。厳しい状況の印刷業界にあって、弊社は印刷以外の仕事も積極的に行うようになりました。この物流センターもそのひとつです。中小規模の印刷会社で、こんな物流センターを持っている会社は他にないと思います。工場からここに異動させてもらったのは、印刷だけではなく物流の仕事もしてみたいと思ったからなんです。そして、それをやりたいと思ったときにやらせてもらえる、そこが弊社の魅力です。私は現在38歳ですが、この年齢で現在のような統括の立場に就かせてもらえる会社はなかなかないと思います。

 

 弊社は、社長の方針で新卒採用がすごく多いんです。毎年10人規模で採用されていますので、若い世代がとても増えました。古い体質の工場などでは、仕事は見て覚えろと言って教えないような雰囲気のところもあると思います。弊社は若い世代が多いですから、そういうことはありませんし、みんな教えるのも上手です。

 

 社長は良い意味で「新しもの好き」であり、とにかくトライしていくところが長所です。そんな社長についていくこともそうですが、社員それぞれがアイデアを出していくことが今後の生き残りには不可欠だろうと思います。紙媒体が売れないという業界全体の状況を踏まえて、今後は変化に対応していくしかありません。もうすぐ40代になる私から見ると、20代の若い社員たちはものの考え方が全然違います。個人的には、彼ら若い世代の良さを生かして、考える力を持った人材を一人でも多く育てていくことが目標です。

 

アート印刷株式会社(4)

 

◉川崎工場

〒210-0826 神奈川県川崎市川崎区塩浜2-6-11

TEL 044-280-1211

 

■自分を成長させてくれる会社に、いかに仕事で還元できるか

(印刷部・2006年入社・33歳)

 メディアの一部、情報発信のひとつの形として印刷業界に興味を持ち、この会社を受けました。私にとって、会社は自分を成長させてくれる場所です。先輩に教わったこともありますし、自分で調べたこともあります。実際の作業での失敗の中から学ぶこともあります。そうした積み重ねの中で今があります。現状をどうすればより良くできるか、もっとうまくなれるかということを考えながら11年間働いてきました。

 

 弊社には、色々なアイデアや提案を受け入れてくれ、やらせてくれる自由な社風があります。こうしてみようという自分たちの創意工夫を認めてもらえるので、やりがいがあります。設備投資を最終的に決定するのは社長ですが、その投資を自分たちがどう生かせるかということを常に考えています。

 

 自分の技術や知識を伸ばしてくれるところが弊社の魅力です。もちろん自分でも努力しますが、それを会社が後押ししてくれるということです。個人の力が会社の力になりますので、研修や教育制度が充実しています。そうした会社からのフォローを、いかに仕事に還元できるかが重要だと思います。

 

アート印刷株式会社(5)

 

■人材が高品質を生む

(印刷部・2004年入社・34歳)

 仕事のやりがいは、高品質なものを印刷し、それをお客様に届け、お客様が喜ぶ顔を見ることです。書店などで、自分が作ったものを誰かが手にとっているのを見るのも嬉しいです。そういうところにやりがいを感じます。

 

 弊社の技術力なら、品質がすごく厳しいもの、たとえばCDやDVDのパッケージや歌詞カードなどもしっかり刷れます。こうした難しいものでも、お客様からデータとともに送られてくる色調見本にほぼぴったり合っていないといけませんし、刷り重ねるときの目印である「見当」も、色が重なる部分はバックの色を付けない「抜き」で合わせるのはけっこう大変なのですが、その辺りもピシッと合わせて印刷できます。

 

 会社の魅力はやはり社長の人柄ですね。社長の人柄やアットホームな雰囲気に惹かれて入社したところはあります。実際に入社してみて、現場では厳しい部分もありながらも、先輩たちに優しく教えてもらえますし、周りのみんなのおかげでいまの自分があると思います。

 

 今後は、QCDといってクオリティ・保守・納期を追求していくことが我々現場の課題です。印刷の品質を上げながら、もっともっと無駄を省いてコストを抑えていく、それは可能だと思っています。

 

 個人的には、いまコーチングを勉強しています。これから入ってくる新入社員や若手により良いコーチングができるようにと考えています。彼らが自分の技術を追い抜いてくれるなら、それは会社のためになるので嬉しいですね。

 

アート印刷株式会社(6)

 

■女性新入社員としても働きやすい職場

(CTP・2014年入社・24歳)

 私は新卒で入社して、4月で3年になります。弊社は一次面接からずっと社長が面接してくれるのですが、すごく親身に話を聞いてくれました。業界全体としては厳しい状況にあっても、この会社なら良い方向に進むのではないかと成長性を感じて入社しました。

 

 実際に入ってみて、研修が多いことなど、社員が成長できるようにとの社長の気持ちを強く感じます。入社して2カ月間研修がありましたが、その後も年に1度ほどは研修があります。そうした場で部署間のコミュニケーションも図れるので、各部署で凝り固まることなく話し合えます。

 

 職場環境も良く、工場に女性は少ないですが、女性だからといって苦労することもありませんし、重いものを持つときなどはフォローしてくれる先輩もたくさんいます。上司からも新しいことをいろいろ教えてもらえます。メリハリをつけて仕事をできるところも嬉しいです。

 

アート印刷株式会社(7)

 

■手厚い教育制度が変化に対応できる力を育む

(CTP・2000年入社・42歳)

 私は今年で入社16年目になりますので、上から数えた方が早い人間です。弊社はほとんどの社員が新卒採用ですが、私は中途採用です。前職も印刷業界で、パソコンで印刷に適したデータを作る製版の部署にいました。前職には4年ほど勤めて転職しました。弊社では、CTP、コンピューター・トゥ・プレートといって、印刷工程前の版を作る部署にいます。

 

 入社後何年かしてリーダーになりましたが、そのときの私のスキルは、他社ではリーダーになれるレベルではなかったと思います。弊社は早めに地位や立場を与えて社員を育てる方針ですから、若い社員も早いうちからリーダーになれるんです。今年3年目、24歳で印刷部門でリーダーに大抜擢された社員もいます。

 

 製造部である工場では、一人ひとりに研修を受けさせるのは難しいはずです。製造・生産を止めて研修をさせるということは、利益を止めるということですから、なかなかできないでしょう。しかし、弊社は社員を大事にしますので、そのコストをかけて全員が研修を受けさせてもらえます。期待されているという証で、ありがたいと思っています。

 

 いま、この業界ではインターネットで仕事を取る方法が盛んです。Web受注というのですが、インターネットで仕事を請けて、インターネットで捌いて、インターネットで請求して……その方が安いので、お客様にとってもそこが魅力なんです。しかし、弊社の強みは、芝公園の本社には企画・営業・制作、川崎工場では印刷、ロジスティックスセンターでは製本・梱包・出荷と、全工程が揃っていることです。安くて簡単にできる印刷も良いかとは思いますが、弊社は人と人とがきちんと接する形で、優れた品質のものをお客様にお渡しできる、私はそこに非常に魅力を感じています。

 

 社長は現状に留まることなく、常に先を見越し、時代の変化に合わせて動ける人物ですので、そこは変わらず、いままで通り野心を持ち続けてほしいですね。会議でも、これをやってみよう、あれをやってみようと皆で社長に提案します。それを聞いているとやりがいを感じますし、期待も持てます。

 

 いま、小さな印刷会社はふるいにかけられ潰れてしまう状況ですが、アート印刷の良さ、社長の良さ、社員の良さをみんなが発揮して、最後はみんなで笑いたいですね。私は、いまの方針で進めば絶対に生き残れると思っていますので、それを信じてこれからも良いものは取り入れて、社長と一緒に頑張っていきたいです。

 

アート印刷株式会社(8)

 

 

 社員たちから共通して語られるのは、有松社長を中心とする社全体のチームワーク。そこから生み出されるのが、恐れずに変化に対応する社風だ。一次面接からすべて社長が行うという採用や、手厚い研修制度など、「人材育成」の段階で、アート印刷は一歩抜きん出ている。まさに「企業は人なり」。外的環境が厳しいとき「人間」にコストを投じられるかどうかは、トップの人間力、器にかかっている。

オビ ヒューマンドキュメント

アート印刷株式会社

http://www.art-printing.co.jp/

【本社】

〒105-0014 東京都港区芝3-3-15 芝MONTビル

TEL 03-3454-1811(代)

 

◆2016年2・3月号の記事より◆

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