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金融業界に新たなスタンダードの創出へ 『IFA』の可能性とは

 

オビ 企業物語1 (2)

金融業界に新たなスタンダードの創出へ 『IFA』の可能性とは

◆取材:加藤俊 /文:山田貴大

オビ ヒューマンドキュメント

ファイナンシャルスタンダード 福田猛 (6)

ファイナンシャルスタンダード株式会社 福田猛氏

 

資産運用のアドバイザーである『IFA(金融商品仲介業者)』が注目を集めるようになってきた。その未来を、業界で急成長しているファイナンシャルスタンダード株式会社に聞いた。

 

アメリカ市場から紐解く日本の将来像

IFAとは特定の証券会社に属さない独立系のファイナンシャル・アドバイザーのこと。投資人口を増やすために2004年の証券取引法改正によって、従来の金融商品取引業者以外でも業務委託を受ければ、「証券仲介業」を行えるようになったことを契機に誕生した。

顧客の利点としては、特定の金融機関に属さず、独立・中立の立場で、それでいてオンライン証券とは違い、顧客目線での助言・相談機能を有していること。「一人ひとりに適したアドバイスを受けられる」と近年利用者が急増している。

それでも市場規模は、IFA経由の取引額はまだ数千億円と言われている。これは代表的な個人向け金融商品である投資信託の残高が100兆円を超えていることを考えれば微々たるもの。

 

しかし、ここに来てIFAに俄然注目が集まってきたことには理由がある。というのも、IFAの将来を語る時に参考になるのが、日本に先んじること30年の歴史を持っているアメリカ市場の存在。

IFAへシステムなどインフラを提供している証券会社のチャールズ・シュワブは、現在では預かり資産でメリルリンチやモルガン・スタンレーを抜いて全米1位となっている。

日本での預かり資産1位は100兆円を超える野村證券だが、日本ではネット証券大手の楽天証券やSBI証券などのIFAビジネスに積極的な証券会社がIFA経由で残高を増やしてきている。そのモデルを考慮した上で「将来日本でもIFA経由の残高が100兆円規模になることは十分にある」と期待されているのである。

 

顧客重視を貫く企業戦略

そのIFA業界の中に面白い会社がある。ファイナンシャルスタンダード株式会社。強みは、顧客重視の姿勢を貫いている点。

さながら医者が患者のカルテを作成するように、顧客の状況から性格面までを把握して、一人ひとりに最適な提案を行うことが評価されているのだという。代表の福田猛氏は「IFAの強みを活かした本物の資産コンサルティングにこだわっている」と語る。

 

「従来の資産運用の在り方には歪なところがあります。例えば、証券会社に相談すれば証券を勧められる。不動産会社に相談すれば不動産投資の提案が中心。当然各社、自社の金融商品を売らなければなりませんから、お客様の資産を全体で捉えて最適な提案を行うことは難しい。

当社の場合、複数の保険会社や証券会社の商品を取り揃えています。IFAとして中立な立場でお客様の資産運用を考えることができます」

 

実際、ファイナンシャルスタンダードでは顧客への提案内容は担当者を軸にしつつも、一人で対応をするのではなく、会社全体で会議をする『FSカンファレンス』を開催しているという。場合によっては、会計士などの士業や不動産の専門家も参加して顧客の資産運用の在り方を考えるのだそうだ。

ファイナンシャルスタンダード (1)ファイナンシャルスタンダードの会報誌『月刊 F‐Style』

そこまでの対応をしている競合他社はほとんどおらず、直前期の3期目には、同社経由の楽天証券での預かり資産がこの一年で27億円から65億円と倍以上に飛躍し、顧客からの支持を集めている。また、顧客とは長期的な関係性を築くことを心がけ、担当者からの情報提供だけではなく、毎月の会報誌等での情報提供も行っているという。

 

今回は風変わりな手法が、業界で注目を浴びている福田氏に起業に至った経緯から、今後の展望まで赤裸々に語って頂いた。

 

オビ インタビュー

ファイナンシャルスタンダード 福田猛 (1) 楽天証券は、IFA業界の中でも群を抜いてコンプライアンスがしっかりしている。ファイナンシャルスタンダードではプライバシーマークを取得することで個人情報の管理に力を入れ、社内でもコンプライアンスを強化している。楽天証券のコンプライアンスルールに加えてさらに厳しい厳格なルールを作っている。

さらに業界では珍しくフルコミッション型(完全歩合制)を採用していない。

「コンサルティングに集中し、お客様に貢献することに全力を注いでいる。お客様に本当に満足いただけるサービスを提供しないと未来はないと考え全員が一丸となって業務に取り組んでいる」と福田氏は語る。

 

IFAの顧客層とは? 従来の対面型の証券会社とオンライン証券があるなかで、あえてIFAを利用するのはどういう人なのか?

 

対面の証券会社から切り替える方は「セールス」を受けたくない人と満足のいく結果になっていない方が多いです。

インターネットで取引している人は、例えば1億円の金融資産を持っている人でもネット証券には500万円、1000万円しか預けていないという方が多いです。実際株式の短期売買をされている方が多いですけれども、大きなお金は対面の銀行や証券会社に預けています。その大きなお金を自己判断だけで運用するのは難しいと考える人が多い。そうした相談も含めてIFAに相談しながらで運用をしたいというニーズが近年大きくなってきています。

 

あるいは逆に1億円を持っていて7000万円、8000万円とネット証券で預けて情報を集めながら自分で運用している人もいますが、今現在は儲かっているがこの先の世界経済に対して不安な気持ちを抱いている人が多い。投資というのは未来の話をしていくことなので潜在的には相談しながら運用したい人が多いです。

 

―投資信託協会のアンケートでは、投資信託を買う時に誰に相談をしたのかという項目の第1位は、約半数以上が誰にも相談しないという回答だ( 56.5%・『投資信託に関するアンケート調査報告書2014年』)第三者のプロに相談したという割合は約5%。

 

投資信託は金融機関に提案をされているケースがほとんどなので、セールスパーソンに相談しながら運用しているとも言えます。営業マンですから当然目標数値などもあると思いますし、そういうポイントの高い商品を提案される傾向があります。

実際、投資信託は圧倒的に勧められて購入している人が多いのですが、「満足をしているのか」という質問に対して、否定的な意見は全体の70%以上を占めているとも言われています。

 

当社は金融機関のしがらみを受けませんし、セールスのないコンサルタントとしてお客様に接しているので、例えば楽天証券の商品を取り扱えるサービスを提供していますけど、楽天証券から指定された商品を販売することはありません。お客様にとって役に立てるかどうかだけに、スポットを当ててお話をさせてもらっています。

 

―しかしIFAも手数料稼ぎを目的とした偏った営業になるのではないか?

 

IFAも金融機関と同様に手数料稼ぎだと思われることがあります。ただ構造の違いとして、IFAの仕組み上のメリットとしては事業の損益分岐点が低いことが言えます。

証券会社は営業担当のフロント以外にミドル、バック部門含め多くの人を抱え、損益分岐点が高くなる傾向があります。「垂直統合型」経営なので、自前で多くの間接部門を抱えているので、コストが高くなりその分の収益を稼がなくてはなりません。

それに比べてIFAは、ミドル・バック部門を証券会社にアウトソーシングをしているのでコストが劇的に安い。損益分岐点はかなり下がっています。この構造上の違いが大きな差を生み、長期的な運用の提案が可能となります。

 

また、IFAとお客様との付き合いは長期に及びますし、構造としてプッシュ型のセールスは成立しにくいと言えます。

 

IFAの業界で起業に至った経緯は?

 

元々、大学時代に様々な本を読んだ経験から、起業願望を持っていました。大和証券に就職後は、必死に仕事に取り組み、素晴らしい人達に恵まれ、色々なことを学べました。そんな折に刺激を受けるために大前研一氏のアタッカーズ・ビジネススクールへ通いました。その時期にIFAの存在を知ったのです。自宅を購入した際、ローン会社の人から紹介してもらったFP(ファイナンシャルプランナー)の方がきっかけでした。

中立的な立場で金融商品を扱うことができれば、一人ひとりのお客様に適した提案ができるようになるという可能性を感じて起業を決意。4期目に入った今、預かり資産は約70億円まで達することができています。

 

起業当初のエピソードは?

 

起業の決断をした時に家族が反対しなかったことは非常に大きかったです。もともと私が証券会社で働いていた影響があるでしょうし、実際に妻もFPに会っていたことが理由として挙がるかもしれません。私自身は相当の苦労を覚悟していましたが、蓋を開けてみると多くの協力者がいたことも幸いしました。

しっかりとした考えや、世の中に対して貢献したいという思いを持つと、こんなにも協力者がいるのだと実感しました。そういった意味で、色々な苦労があったものの、ポジティブ・サプライズの方が多かったです。

 

今現在、描いている青写真は?

 

IFA業界が今後拡大をしていくには母数が少ないので、供給サイドの参加者が増えなければなりません。これから企業としての成功例がたくさん出てくることによって拡大していく可能性はあります。その前例を作っていきたいです。社名に込めた思いも、日本の金融サービスや資産運用における、これからのスタンダードを創造していくことを願ってです。

具体的に言えば、今までの金融機関とお客様の関係性を180度変えるということです。そういう意味では現在、東京にしかオフィスがありませんが、大阪など様々な地域に進出していきたいと思っています。

 

中小企業などの経営者が考えるべき資産運用とは?

 

中小企業を経営されている方はオーナー経営者のケースが多く、会社と一心同体の方がほとんどだと思います。そこで色々なリスクを取っているとは思いますが、築き上げた資産の運用にも意識を向けて頂きたいです。

多くの方に言えることとして、経営はプロですが資産運用に関しては信頼できるアドバイザーと一緒に管理をしていくことが重要になってきます。その点、手前味噌ではありますが、当社のコンサルタントはお客様から非常に評価を頂いていますので、既存の銀行や証券会社、プライベートバンクに満足されている方も満足をされていない方も、お気軽に相談して頂きたいです。

 

―ありがとうございました。

 

オビ ヒューマンドキュメント 福田猛(ふくだ・たけし)…同志社大学卒。2003年大和証券株式会社入社。資産運用コンサルティングに従事。2012年ファイナンシャルスタンダード株式会社設立。趣味は読書と、愛犬ゴン太の散歩。著書に『金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

 

ファイナンシャルスタンダード株式会社

所在地:東京都港区芝5-3-7 三田奥山ビル2階

TEL:03-6852-1729

https://fstandard.co.jp/

社員数:8人

 

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