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経営の本質は仏教に学べ!

 

オビ コラム

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ! その19

経営の本質は仏教に学べ!

◆文:佐藤さとる(本誌 副編集長)

 

 

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知人のなかに写経を始めたという者がいる。少し肌寒げな空間で背筋をのばして、ひたすらありがたい文字を写していく行為は、想像するだけで心が洗われそうな気がする。

ちょっと仕事で思い通りにいかないと、無性にイライラしたりする人間のできていないワタシなどは特に。そしてしばらくすると「ああ、まだまだです、稲盛さん」と財界の大先達に勝手に詫びを入れたりする。

稲盛さんとは京セラの創始者の稲盛和夫さんのことだ。大概の経営者のなかでも徳の高い人と言って間違いないだろう。なにせ俗世を断って仏門で修行をされた人だ。存在自体が、まさにありがたい。

 

稲盛さんほどではないが、長年会社経営を行っていると仏教が近くなる経営者は結構いる。経営という行為が、理屈や数字だけで乗り切れるものではないことが肌身に滲みてくるからだろうか。

それは年齢の問題というより、経営の本質に近づいてきたからかもしれない。なぜなら「経営」とは仏教用語だからだ。

よく「仏心で商売はできない」という声は聞くが、仏教における経営とは「自分をどう活かすか」「どういう人生を歩んでいくべきか」を探求することである。まさに現代の組織運営、企業経営の奥義を突いている。

 

さらに「仏教とマーケティングは似ている」という人もいる。仏教に詳しい経営コンサルタントの本多信一さんだ。なぜかというとマーケティングは最終的に金を与えようとし、仏教は安心を与えようとしている差があるだけだからだ。

マーケティングは消費者の潜在的な願望に着目し、その願望の実現プロセスを追求していくのに対し、仏教では浄土からの救い、安心を求める。最終的に求めるものは違っていても、そこに辿り着くまでの方法は似ているというのである。

本多さんは、さらに企業組織は曼荼羅図と似ているという。

曼荼羅図はご存知の通り、仏教の悟りの世界観を視覚的に表現したもので、中心に大日如来を置き、その周囲に薬師如来や釈迦如来など、合計実に1875体の仏様が描かれている。

本多さんは、「この中心にある大日如来を自分に置き換えてみれば、その縁に関わってくる人の結びつきを実感できる」という。

企業組織は、社長に企画部、営業部、経理部など、如来様に代わる役割を持つ人たちがそれぞれ、その先のお客様に繋がっている。お客様との繋がりを大切にしていくことができれば、その企業は繁栄していくことが分かる。確かに……。この繋がりは今でいう情報だ。

 

では中心となる経営者は何を目指せばいいのか。

経営者は「大いなる知恵」を追求するべし、というのが仏教の教えだ。知恵のことを仏教用語では般若という。あのコワモテの般若である。

このことは道元が書いた正法眼蔵の一巻「摩訶般若波羅蜜」(まかはんにゃはらみつ)で使われている。摩訶とは「大いなる」という意味。波羅蜜は波羅蜜多、パラメータの語源とも言われ「完成する、成就する」という意味となる。

すなわち「摩訶般若波羅蜜」は「大いなる知恵の成就」となる。知恵は知識や情報が身につき、行動できて初めて使えるものだ。

この一巻の冒頭には「観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時、照見五薀皆空、度一切苦厄」とある。仏教博士の村山幸徳さんによれば、この菩薩は大衆から修行生活を経て指導者になって人々を導いたとされる観音様を指す。叩き上げの経営者のような存在だ。

 

つまりこの経文には、経営者のあるべき姿が述べられているのだ。

どういうことかというと、「人を導く役目を持つ人は、まず心を空にするよう行を深め、全身全霊をもって知恵を成就させなければならない」ということ。

「空になる」というのはかなりハードルが高そうだが、村山さんによると、脳を意識して明るいイメージで満たすようにすると、楽観論に基づいた行動ができるようになるらしい。というのも脳はもともとネクラにできていて過去の失敗や劣った環境を引きずる。だからそういったことにこだわらず、空にして臨むと、知恵を成就させることができるのだ、と。

でも成就は遠いなぁ。

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。

 

オビ コラム

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