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海外から日本への輸入される模倣品対策

 

オビ コラム

海外から日本への輸入される模倣品対策

◆文: 伊藤信和(弁理士・諏訪坂特許商標事務所・税関専門委員候補)

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海外のバッグ類、衣類、靴類、スポーツ用品等のブランド品は、そのデザインやステータスの高さから人気が高く高値で取引されるため、依然として模倣品の輸入が後を絶ちません。最近は、バッテリー等の電気製品、医薬品、雑貨など等の消費者向けの商品だけでなく、BtoBの工業製品までも模倣品として輸入されています。

このような模倣品が日本国内に輸入されるのを防ぐ機関が税関です。税関では麻薬とか拳銃などと同様に、知的財産を侵害している模倣品を水際で差し止めしています。

 

では、税関で模倣品を差し止めてもらうためには、どのようなことが必要になるのでしょうか?

まず、①日本国内において、著作権、意匠権、商標権又は特許権といった知的財産権を確保する必要があります。商標権は商品の名前やロゴといった商標を保護するための権利であり、意匠権は物のデザインを保護する権利です。税関で差し止められる模倣品の多くは、バッグ、衣類等が日本の商標権や意匠権を侵害したとして差し止められます。

税関では、著作権侵害として差し止められる商品も多いです。いわゆる海賊版と呼ばれる、音楽CD、映画・ドラマなどのDVD、キャラクターグッズです。著作権は届け出をしなくても自動発生する権利であり、作詞作曲したりドラマを作成したりキャラクターを作成したりした時点で著作権が発生しています。

特許権を侵害したとして差し止められた案件は、商標権と比べて件数は少ないですが、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ、バッテリ、CD-ROM及び半導体検査装置などがあります。

 

②次に、取得した知的財産権に基づき、知的財産権の権利者が税関にて模倣品・海賊版(以下、まとめて模倣品と呼びます。)の輸入差止をしてもらうための申請手続きをします(申立手続)。

この申立が通った後、税関が、申立てられた模倣品が実際に輸入申告されたことを発見します。

すると、③税関は模倣品の輸入差止の認定手続を開始します(認定手続)。この認定手続は、税関が、輸入申告された貨物や国際郵便物が知的財産権を侵害する物品ではないかとの疑いを持った場合に、それが知的財産権を侵害するものと言えるかどうかを認定する手続です。

そして輸入品が模倣品と認定されると、税関は、その模倣品を没収・廃棄等を行います。

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『カスタム君』は、麻薬探知犬をモデルとした税関イメージキャラクターです。

 

 

税関職員は、模倣品をどのように発見しているのでしょうか?

毎日大量の商品・製品等が輸入されていますから、税関職員がその中から模倣品を発見することは大変です。税関職員の長年の経験からの勘で模倣品を発見することも多くあると思います。意匠権、商標権及び著作権を侵害する模倣品は、椅子の外観形状、商品に付された商標、DVDのジャケットカバー等を税関職員が目で見て識別することができるため発見されやすいです。

しかし、模倣品も正規品にそっくりに作られているため、両者に微妙な違いしかないということも多々あります。そこで、権利者は(例えば有名ブランドの会社の知的財産部の担当者は)、税関職員に対して例えばロゴのこの部分が5度傾いていると正規品ですとか説明会を開いたりしています。

また上記②申請手続においても、権利者は模倣品と正規品とは、ここを見れば両者の違いがわかりますという書面を提出します。これらの情報に基づいて、税関職員が日々模倣品の発見に目を光らせています。

また、知的財産権の権利者は、国内に模倣品が輸入されるという情報を入手した際にはその情報を税関に伝えています。例えば、中国の○×港から※有限公司が輸出したコンテナが横浜港に近日入港するがそのコンテナに模倣品が入っている、との情報を税関に伝えます。大量の輸入品のなかから輸入ルートを特定できる情報は、模倣品の発見に役立てられています。

 

 

 アイデアを保護する特許権を侵害する模倣品はどのように見つけるのでしょうか。

特許権の権利範囲は請求の範囲に記載された「言葉」で表現されています。そのため、意匠権や商標権の場合とは異なり、輸入された商品又は製品が請求の範囲に記載された「言葉」を侵害するか等を税関職員が判断することができません。

このため、特許権侵害する模倣品であっても、上述したように②申請手続において模倣品と正規品との見分け方の書面等を提供します。例えば、特許権侵害の模倣品は、パッケージにこのように印刷してありますとか、製造元がABC.Ltd.の会社名で○△製であれば特許侵害の模倣品ですと記載した書面を提出しています。

 

侵害品の輸入を効果的に食い止めるため

税関に、模倣品と正規品との区別方法や違いを説明する書面を出しておけば、後は税関が勝手に処理してくれると思っていてはだめです。知的財産権の権利者と税関との協力が大変重要です。模倣品と正規品との区別方法が書面に記載されていても、税関職員が本当に模倣品なんだろうか等と疑念も抱くことも多々あります。そんなときは税関から権利者に電話が掛かってきます。

大量の商品・製品が輸入されているなかで、何日もその商品を税関で留めておくこともできませんから、権利者にを電話が掛かってきたときには、権利者はすぐに税関に出向いて税関職員とともにその商品が模倣品か否かをチェックする必要があります。

 

大量に模倣品が輸入される場合には、それらが日本国内に出回る前に、税関で模倣品を一気に差し止めることができます。日本への模倣品の輸入を差し止める機会を確保するためにも、知的財産権を確保し税関での輸入差止制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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●プロフィール

伊藤信和(いとう・のぶかず)…弁理士・税関専門委員候補。金沢大学工学部機械科卒業 平成6年 弁理士試験合格/ワシントン大学法学部CASRIP終了(2006年)/工作機械メーカー機械設計/国内・外資企業の知的財産部勤務(経験16年)/特許事務所を開設(2006年~)

諏訪坂特許商標事務所

〒102-0083東京都千代田区麹町3-5-2 BUREX麹町

TEL 03-5213-5413

http://www.itopto.com/index.html

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