ある発明家の回想 モーメントパワー発電装置
ある発明家の回想
モーメントパワー発電装置
文:池田吉康(ふるさと農園・有限会社ヤマ吉)
私は、いろいろな研究開発に取り組むと同時に、無農薬で栽培した野菜の販売を起こっている者だ。従来とは異なる水力発電装置『モーメントパワー発電装置』を発明するに至った話をする。
全ては27歳のとき、単純な発想から発電に興味を持ったことに始まる。コップに注がれているビール、そのコップの底から泡が上るなんてことのない様子を見ていたのだが、この時、何気なくこの泡には浮力があるのだろうと思って見ていたのだ。
何日かが過ぎた入浴中にまた、つと、ビールの泡のことを思い出した。早速、浮力を確認しようと空気を込めて風呂桶を逆さにして沈めてみた。皆さんご存知だろう、風呂桶一つでも浮き上がらせる力は強いものがあった。そこから、想像を伸ばし、お風呂の部屋1個分のタンクならどれだけの力が有るのだろう、この力が100mも上昇したらどんなにすごいエネルギーが取れるだろう、そんな想像をしたのを憶えている。要は、この浮力から発電できないものかと思ったのだ。
そんなことを頭の隅に置いて生活をしていると、たまたま金魚の入っている水槽に目が行くことがあった。その水槽は、エアーポンプのエアホースから送られた空気の気泡の上昇を利用して水中の水車を回していた。やはり、空気の浮力で水中の水車が回るのだと思った。であれば、更に上方に水車を1個、2個、3個と増やしていくことも面白いと感じた。その光景を見、想像することで更に浮力に魅力を感じたのだ。そして、エアーポンプなしで空気を水槽の最下部に作ることが出来ないだろうかと真剣に思う様になった。
そこから数日間、お風呂に入るたびに風呂桶を沈めては浮かせを繰り返していた。ある時、風呂桶を浴槽の底にして座ってみた。さすがに、身体は浮き上がらない。
しかし、あるアイデアが浮かんだ。この風呂桶が浴槽の下にあったらどうだろう。そして、この桶が密閉状態なら、桶の上部に弁があって、その弁を開けたら空気は浴槽に上がっていくだろう。単純な発想だが一歩の前進で、ひいては上部を水槽として水槽の最下部に空気の部屋を作る構造に繋がった。
水槽の最下部に上部水槽とは一体の物である部屋があることで、この部屋は、上部水槽とは、仕切りがあり、仕切りは、閉じたり開けたりすることができるように。最下部の部屋からは、水が抜けるような構造にする。まず、最下部の部屋の水を抜き、空気の部屋にする、部屋を密閉状態にして、上部水槽との仕切りを開ける、すると同時に空気が上昇する、気泡の上昇を利用して水中の水車を回し発電をする。
部屋から空気が出ると部屋には水が入るので上部水槽との仕切りをする、仕切りをしたら部屋の水を抜く、この繰り返しにより気泡を上昇させ発電の継続をするものと当初は考えていた。しかし、この方法では上昇していくすべての気泡の浮力を水中に何段、何台もの水車をつけて回してエネルギーに変換するには、あまりにも見た目にロスが多いのではないかと気がついた。
では、一度で発生する気泡を水槽の最下部から水面まで押し上げたらすべてが繋がった状態になり全てが運動エネルギーに変換できるのでは、と考えた
この方法を取り入れるとすれば、浮上するタンクの上にギア付の棒を付けて水面上方に発電機を設置して発電することになり、最下部に出来た空気の気泡を水面まで押し上げる力は全て電気エネルギーに変換できる。
でも、どの様にしたら可能になるのだろう。そう思い続けた先に、答えは簡単なところに有った。私が何時もお風呂で考えていたから風呂が基準で水が多かったのだ。水道用の塩ビ管にすればタンクを真上に上げる加工や高さも自由に変えることができる。しかし、また問題、一旦上がったタンクをどのように沈めたらよいだろうか、沈めている間は発電が出来ないのだから。
この問題はお風呂で浮力遊びをしている時に思いついた。風呂桶が一個だから真っ直ぐに上げなくてはいけない考えになる、風呂桶が何個もあったらどうだろう。そして、この風呂桶がつながって回転したら面白いではないか、そうだ、風呂桶をタンクとして空気を入れて1個、2個、3個、と水中を浮上させよう、そのような構造にしたら理屈では浮力が2倍、3倍と空気の入ったタンクの数だけ増えるようになるだろう。
そして、時を経ることで、浮力の言葉が脳に染み付くようになった。テレビで放映される飛行船。空気中に浮力で浮く飛行船とは何だろう。空気を熱して空に浮く飛行船、空気よりはるかに軽いへリュームガスで空を飛ぶ飛行船。この飛行船によってもう一つのアイデアが浮かんだのだ。
水槽の最下部の部屋に空気ではなく電気分解による水素と酸素を作ること。水素は、空気より約10倍も軽い、よって、空気中でも飛行船を浮き上がらせる水素は、空気より10倍の力があるのではないか、このことが事実なら大きな発電力を持ち、発電させ上昇した水素で更に燃料電池を使い発電する。となれば浮力発電+(プラス)水素による燃料電池の発電になるだろう。
これは、大変な可能性があると思ったものだ。水素の浮力を利用して発電、その発電した電気を使用して最下部の部屋での電気分解エネルギーとする。このエネルギーが同じであるならば、上昇した水素のすべてが余剰であり他のエネルギーに使用することが出来るだろう。また、同時に出来る酸素は利益を生み出す。
この発想は、今でも通用するものと思っている。ただ、この装置を作るには、コストや難問が多いので、後々の楽しみとして保留した。
この時は、まだタンクをエンドレスに繋いで一つの水槽のなかを回転させる装置のことを考えていた。27歳とまだ若く、これで発電装置は出来る。この発想は生かせると思いすぐに行動してみた。当時は、第一次オイルショックの後で省エネの必要性が叫ばれている時。そこでこの考えを活用できないかと思い通産省に行き相談をしてみた。省エネの担当者は面白いかもしれないが判断が付かないとの事で筑波にある通産省工業技術院を紹介してくれた。
早速、筑波の通産省工業技術院に行き水素専門の工学博士に相談をしたが出来るとも出来ないとも結論をもらえなかった。さらに、燃料電池設備のある東京電力やいろいろな所に当たってみたが、どこも出来るとか出来ないとかの結論が出ない。当時私は石油を必要としない水と空気で水素が出来る水素エネルギー社会が出来ると話をしていた。
話を聞く人によっては、そんなことを言っていると冗談でしょうや海外の石油関係者に抹殺や暗殺されるぞとの声まで聞くようになった。そんな繰り返しで、事業化のめども立たず、なし崩し的に保留状態になってしまった。
そして、忘れもしない、平成8年7月のこと。自社の事業で最悪の事態が発生した。かいわれ大根O‐157事件。主力だったかいわれ大根の仕事がまったく無くなった。3人の子供は6歳、8歳、10歳とこれからが一番大変な時期だった。そのような時だったので、私は、子供を育てる事に専念せざるを得なくなった。
ようやく平成20年には6歳だった子供も就職が決まり、親として一応の責任が果たせたとほっと胸を撫で下ろした。子育てをしている間に社会情勢も大きく変化した。特に環境問題は、世界的な課題となった。長いこと、お蔵入りしていた発電装置考案を再開するタイミングが来た。いよいよこれから、人生を懸けた仕事に専念できる意気込みと喜びが湧いた。
装置をエンドレスに回すにしても最初に水に沈むタンクの抵抗を無くすには、どうすれば良いのか。風呂桶を沈めようとしても力が要る。しかし、満水の風呂桶は、何の抵抗もなく水に沈む。と言うことは、水槽への水の供給源を最初に沈むタンクにして水を給水し、満タンにすれば、なんら抵抗がなく水中にタンクは入って行くので問題はなくなる。
次に、空気が入って浮上する風呂桶は、水面に上がった時に上昇面で水も持ち上げる。このことは、水中では、上昇面に抵抗があるということ。そこで、やや円錐形であるペットボトルを風呂に持ち込んでみた。ペットボトルに空気を入れて蓋をして実験。すごいスピードで浮上し空中に40~50cmも飛び上がる。ペットボトルの底面を上にして浮上させるより蓋をした飲み口を上にして浮上させた方がより抵抗が少ない様な気がする。
また、空気だけで浮上させるよりもペットボトルのようなプラスチック容器に空気を入れたほうが水との摩擦抵抗も少なく早いスピードで浮上する。
容器をエンドレスに回す構造誕生
もう一つの問題。一つの水槽のなかを浮上するタンクと沈んでいくタンクが上下することは、水の流体に変化が起きて抵抗が発生しているということ。これはなかなか難問かなと思っていたが、回転寿司屋さんにあった魚の入っている水槽を見た時に閃いた。水槽は、川のようにエンドレスにぐるぐると回るようになっていた。というのも、水槽の水に酸素供給の為に空気をエアーポンプで送っているのだが、下からではなく水槽の褄側の中段から噴出しているのだ。この噴出する空気の力を利用して何トンもある水を回転させている。
そこで、発電装置も、浮上していくタンクと下降していくタンクを別々にしてエンドレスに回すようにすれば水の流れが一定方向になりこの水の循環は、タンクの循環移動を助長させることにもつながり、双方ともに循環移動効果を相乗的に向上させることが可能になる。
水道用の塩ビ管を活用しよう。浮上して水を押し上げていくタンクと下降して水を下に押していくタンクを別々の管にして水だけが循環できる様にすれば上下回転になるがエンドレスに水は回転運動をする、と考えた。
手作り試作で作った装置
この様にして、さまざまな問題を解決して特許申請を行った。すぐにでも実用化させたくて各機関へ試作機作り支援の相談とお願いしたが支援を得ることは出来なかった。
千葉信用金庫による産・官・学連携の相談会が有り申し込みをして、千葉工業大学と木更津高等専門学校に相談をしてみた。結果として、製作してみないと分からない、いろいろと抵抗が大きすぎるのではないかとの指摘を受けた。
結局、今までに無い考えだから難しいとの結論。製作した小さな実験装置では、他のエネルギーを使用する事無く水の自重圧によって水槽内に空気を送り込む方法が出来たので、申請した特許は保留にして、新たに、シンプルな方法による発電装置に挑戦することにした。
その装置は、水の自重圧によって圧縮された空気が噴出してタービンを回し発電させる装置。発電効率をより向上させることが可能な圧縮空気を利用した発電システムだ。
第1号試作発電機「水の自重圧で圧縮空気を作り発電する装置」
2,010年10月に開催された環境・エネルギー分野の課題解決へつながる特許技術がテーマのパテントソリューションフェアに応募出展する為だった。
動画
「選考されなかった。よって、出展出来ずに終わる。」
この装置は、3人の子供達が資金提供して制作した装置。メカに強い人には人気が高く、発電効率のよい装置だ。しかし、試験を続けるのには、更に資金が必要になる。そこで、更に低コストで取り組める方法がないか検討に入った。水中を空気が上昇する事と空気中を水が落下する事も同じ事と考えると水中より空気中の方が簡単であり、制作も楽である事に気づいた。
この事が、新たな発電方式に繋がる結果になった。それがモーメントパワー発電装置だ。
物体の重量を回転体の力点に掛けエネルギーを取り出す構造の創作
空気中を落下する個の物体のエネルギーを連結させ合計重量を回転体の力点に掛けエネルギーを取り出す構造。石や砂、鉄等の様に比重が大きい物ほどエネルギーは大きく取り出せる。
1例、水力発電装置に付いて。装置名 モーメントパワー発電装置
持続可能であり自由に形を変る事が出来る比重1の水が一番安定して、扱い易く、第一のエネルギー資源にして考える。
▼基本となる考え方 理論の説明になるので以下隠し文字▼
反転文字になっているので、お読みになる場合は、始点からクリックしたまま、終点までマウスカーソルを引っ張り、隠している文字を見てください。
基本となる考え方
理論値対比計算
試作装置として制作した落差50cmの小型モーメントパワー発電装置
水の供給量 毎秒50cc
上部車輪 直径30cm
水の落差 50cm
1分間の回転数 10回転
自転車用のLEDライトを点灯させた負荷を掛けている。この装置の発電量を計算すると1分間に回転する距離は直径30×3.14=94.2 円周94.2×10回転=942cm
1秒の移動距離は15.7cm(942÷60秒)
落差内にあるカップ数は3カップ(50cm÷15.7cm)
毎秒50ccの水が供給され落差50cmの間に3秒で3個のカップが有る。
毎秒50ccの水が供給されるので50cc×3秒=150ccの水がカップに入っている。
150gの重量。回転体の力点には150gの力が加わっている。
トルクは 150×15cm=2250gf・cm
ここで水力発電の理論値を示す。
1トンの水が1秒間に1m落下した時9.8kwの発電
50ccの水が1秒間に1m落下した時
0.00005×1×9.8=0.00049kw 0.49w。
では、モーメントパワーの場合は
50cmで150gなので1mでは 150×2=300 300g
1トン 1000kg÷0.3kg=3333 1/3333。
9.8kw÷3333=0.00294kw 2.94w。
2.94w÷0.49w=6 6倍の発電量になる。
50cmの装置では3倍の発電量。
毎秒50ccの水の供給でも1mで300ccの水容量になるので水力発電理論値では
0.0003×1×9.8=0.00294kw 2.94wに。
水力発電の理論値は、高さ×流量×9.8
0.5×0.00005×9.8=0.000245 0.245w。
従来の水圧式による水力発電装置の場合。
上部より毎秒50ccの水を供給し、水深が50cmで一定になるようすると最下部から噴出する穴の大きさは、6mmの穴になり、入力水毎秒50ccと出力水毎秒50ccのバランスが取れる。パスカルの原理により水深50cmは、1cm2当たり50gになる。(面積比により水力発電装置の噴出力は、14.13g)
トルクは14.13g×15cm=211.95gf.cm
同一の車輪によるトルク計算で見ると2250gf.cm÷211.13g=10.65倍。
従来の高効率水力発電装置の力は毎秒14.13g、モーメントパワー発電装置では150g。約10倍の力になる。
参考図を6ページで示す。
毎秒100ccの水が1m落下しても1kgの物体を1m上げる事は出来ないと考える。仕事量は0となる考えだ。しかし、考えを変えてみれば、高さ1mの所から毎秒100ccの水を落下させて1kgの物体を1m上げる事が出来る。高さが、5m、10m、100mでも可能で、その落差が増える分仕事量は増える。
最後にこの装置でできることを書いておく。
・水により持続可能な電気エネルギーがシンプルな装置を使い低コストで得られる。
・現在問題になっているCO2を排出する化石燃料や放射能に問題ある原発を使用しなくても良い。
・得た低コストの電気エネルギーで他に使用する全ての動力源になる圧縮空気、水素、HHOガスを作る。
・世界共通の直流家電製品ができ、世界中どこでも流通し使用できる様になる。
・新しい家電製品や圧縮空気、水素、HHOガス等の新産業の発展になる。
・きれいな空気を作り、地球環境を取り戻す1歩となる。
・その1歩が、地球環境を安定させる為の治水に重要な役目をする。
・流体エネルギーを発している氷河や氷の溶けた水を地下に貯水して流体エネルギーを抑える。
・地球の回転軸を安定させる為に、CO2による環境破壊前の流体水量(コップ1杯にはコップ1杯の水しか入らず溢れている水を地下に固定)に戻す。
・計画的に発電してエネルギーを得ると同時に治水をする。
・地球上の人々がエネルギー源を心配することなく、全て水資源によりエネルギーを得る事が出来る様になり人々の生活が安定する。
税金は、原発や軍事産業に掛ける事も1案かもしれないが地球規模で考えたら環境破壊を抑制させ、より安定した地球環境を求める事に使い、夢のある未来を追求すべきではないだろうか。興味を持たれた方がいたら、ぜひ連絡を頂きたい。
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●健康野菜専門農園 ふるさと農園
池田吉康
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