オビ スペシャルエディション

中小企業向け新興国研修始めました

◆文:山口和也 (株式会社旅武者 代表取締役)

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2014年夏の参加者集合写真

日本の中小企業が生き残るには海外に真のグローバルリーダーを送り込み、海外マーケットを攻略するしか手はない

 

 ベトナムにおける新興国研修のご提案

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日本のマーケットサイズが今後縮小していくのは確定している、現実に起こる近未来です。そのため、日本の中小企業は今後海外、特に新興国に進出することが必須の時代が目前まで迫っています。

マーケットサイズは単純に人口で決まります。正確にいうと「人口ボーナス(国の人口構成で、子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態。多産多死社会から少産少子社会へ変わる過程で現れる)」がどれだけの期間続くかによって決まります。日本の高度成長期は日本の人口ボーナスと一致することはよく知られていますが、アジア新興国はまさにいまこの状態にあるのです。

その中でも平均年齢28歳、人口9000万人のベトナムはこれからの成長が確約された国であり、ポリティカルリスクも少ない親日国であることから様々な企業が進出し始めています。しかし「うちの会社にはそんな海外でビジネスをできるような人材はいない」と思っていませんか?

 

「いない」のであれば育てればいいのです。過去、日本企業はアジア新興国の企業のM&Aを通じて進出を図ってきましたが、結果は思わしくありませんでした。私は国内企業が海外企業を買収する前のDD(デューデリジェンス)の仕事なども受けますが、既に自社と違うカルチャーを持つ異国の企業をコントロールするのは本当に大変です。

そのため、今のトレンドは社内のグローバルリーダーを直接新興国に送り込むことです。ダイバーシティ(多様性)マネジメントを身に着けたグローバルリーダーが一人いれば、海外でビジネスを始めるのはそれ程難しくはありません。

では日本の中小企業はどうやってそのグローバルリーダーを手に入れればいいのでしょうか?

 

答えは簡単です。ポテンシャルがある若手人材を新興国に送りこんで鍛えればいいのです。弊社は日本の中小企業が進出に二の足を踏む主因である「グローバル人材不足」という問題を解消するため、中小企業向けの研修プログラムを作りました。

事前・事後の研修を含め徹底的に理論とベトナムでの実践(1カ月)を繰り返すことで、真のグローバルリーダーを育てる、値段もリーズナブルなプログラムです。海外に進出して失敗するリスクを考えれば、グローバルリーダーを育てる研修にお金を使うかどうかがこの先の明暗をわけるとの考えからです。

なお、研修地を新興国の中でもベトナムにしている理由は前述の理由の他に、インドよりインフラが整っており、タイより成長のダイナミズムが感じられる新興国1.0と呼ばれるベトナムで経験を積むと、他の国でも応用が効く人材を育成できるためです。

 

ブラック企業に就職した体験から生まれた「海外ビジネス武者修行プログラム」

私は日本の大学生が「2~3人/グループで自分たちが考えた企画をベトナムで実施する」という「海外ビジネス武者修行プログラム」を主催しています。

通常の旅行や、ちょっとした海外研修では経験できない「自分でビジネスを作る」という体験を学生時代にしておくことで、将来の学生の選択肢を増やし、「自分でなりたい自分になる」「自分がやりたいことができる力を身に着ける」といったことを実現できる人材を育てたいとの思いからです。

 

このプログラムを始めた背景には二つの私の原体験があります。

一つ目は、私が新卒で入社した企業がブラック企業だった体験です。ブラック企業といっても昨今言われるような労働時間が長いとかパワハラがあるとかそういったレベルの話ではなく、殴る・蹴るが横行する本当に真っ黒な企業でした。

挨拶は全て「押忍!」をつけます。「押忍!行ってきます!」「押忍!お疲れ様です!」。声が小さいと何度でもやり直しさせられます。営業を終えて支店に帰ると支店長がケツバット用の新聞紙を硬く棒状にしたものを素振りして待っている……といった感じでした。

そういった体験から「学生のうちにビジネスについて基礎的な知識を持っておかないと、入社時に企業に簡単に騙されるし、自分に合った企業を選ぶことはできない」と考え、大学生のうちから「実際にビジネスを体験する」研修をしたいと考えるようになりました。

 

もう一つはそのブラック企業が倒産した後に入った米系の医療機器・医薬品メーカーにて、アメリカ勤務の後、事業開発担当としてアジア各国と仕事をした時に「日本人は最弱なのではないか?」と感じた体験です。シンガポールや香港には全然勝てないですし、中国や韓国ともGreedyさ(貪欲にビジネス界で勝ち上ろうという姿勢)で負けている気がしました。そのことからアジア新興国に出ていく日本人を増やしたいと考えるようになりました。

 

これら二つの原体験から「アジア新興国でビジネス研修をやりたい」と考え、39歳で入学した社会人大学院の早稲田大学ビジネススクールにて修論を書きました。そのタイトルは「アジア新興国ベトナムにおける実店舗を用いた研修ビジネスの成功要因に関する研究」です。

 

そして、アントレゼミのゼミ長としてこの修論を書いている最中の2013年2月に独立起業しました。2014年度は66名の大学生が、私の会社がベトナムのホイアンで運営している2つの店舗を使って、思い思いの企画を実施し、時には涙を流しながら自分自身を「変態」させました。


紹介PV

 

武者修行プログラムの特徴は以下の3点です。

  • ビジネスと人間関係の原理原則を学ぶことを通じて「自走式エンジン」を搭載する。
  • 得意分野ではなく、伸びしろが大きい「今までにやりたいと思っていたけどやったことがないこと」か「自分の苦手分野」を現地で実践する。
  • 失敗から人は多くを学ぶとの考えから、ゴール設定とそこに到達するまでの「手法」は教えるが、答えは教えない。

 

これらの3つのルールに基づいて、プロのファシリテイターが徹底的にサポートします。ファシリテイターは人間関係の原則を教える人事系ファシリテイターと、ビジネスの原則を教えるコンサル・ビジネス系ファシリテイターの二人体制です。

 

これから3年以内に店舗を13店舗作り、日本にインパクトを与える最低限のレベルであると考えられる年間1000人の大学生を研修する体制を構築する予定です。そしていずれは数カ国体制に規模を拡大させていきたいと思っています。

大学一年時にベトナムで新興国ビジネスを、二年時にインドでBOPビジネスを、三年時にシリコンバレーでスタートアップを学んだ学生なら、どこの企業でも欲しがるのではないでしょうか?

 

そして、その後は「武者修行 in 地方」なども随時進めていきたいと考えています。

私は独立起業したからには世の中に求められている価値を自分の手で作り出したいと強く願っています。もし、弊社の事業に興味を持たれましたらお気軽にご連絡頂ければとても嬉しく思います。

 

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ベトナムでのプロモーション活動の様子

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最終プレゼンの様子

 

オビ スペシャルエディション

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山口和也(やまぐち・かずや)氏

株式会社旅武者 代表取締役

http://mushashugyo.jp/

【略歴/職務内容】

早稲田大学大学院 商学部 専門職学位課程ビジネス専攻卒(MBA)[TOP10% Distinguished Student]

2000年、米系医薬品&医療機器メーカーのマリンクロットジャパン株式会社 社長室入社。米系グローバルカンパニーであるタイコヘルスケアによる買収で社名がタイコヘルスケジャパンに変更する際、マーケティング部へと異動。2004年、日本人として初めて米国本社勤務を命ぜられ、International Product Managerとして2年間、世界各国のマーケティング担当者と共に新製品導入プロジェクトに携わる。2006年、日本帰国後、Business Developmentシニアマネジャーとして、主にAsia Pacific & Japan地域において、各国担当者と共に事業アライアンスや製品上市戦略等を担当。2011年には年10億の売上を上げ、Asia Pacific & Japan地域にて年間MVPを獲得。2013年に独立し、株式会社シェアーズを創業し代表取締役に就任。これまで培ったグローバル経験を活かして、ベトナムにおいて実店舗を使った海外インターンシップ研修事業を立ち上げ、初年度から66人を派遣。大学生向けアジア新興国研修において初年度で年間人数実績No.1となる。

専門分野:若手ビジネススキル全般、ロジカルシンキング、問題解決、マーケティング、戦略、チームビルディング

【目標】

アジアに30店舗を作り、年1,000人の海外研修を実施する体制を構築する。

2015年2月号の記事より
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