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西郷国際特許事務所 西郷義美(元弁理士会副会長・国際活動部門総監) ‐ 商標は世界を巡るセールスマン

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商標は世界を巡るセールスマン

◆文:西郷義美(西郷国際特許事務所所長・元弁理士会副会長・国際活動部門総監)

 

ビジネスにおいて商標の持つ効力は大きい。「商標は世界を巡るセールスマン」ないしは「商標は無休無言のセールスマン」という言葉もある。これをうまく活用するために、まず「商標とは何ぞや」というところを知っておく必要がある。

商標にはどんな顔があるのか。どんな種類があるのか。外形から分類すると5つに分けることができる。

 

1文字商標

アリナミン 文字商標

文字のみの商標。文字はひらがな、漢字、カタカナ、ローマ字、数字等により表されるもので、その文字が意味を有するか否かは問わない。

 

2 図形商標

クロネコヤマト 図形商標
図形のみから構成されている商標。図案化され文字商標は図形商標と見なされる場合がある。

 

3 記号商標

記号商標 例
記号、仮名文字、英文字などを囲んだもの、文字を図案化しモノグラム化した記号、記号的な紋章。

 

4 立体商標

立体商標 例
商標を立体化したもの。人物や動物等を人形のように立体化したもの等がある。

 

5 結合商標

統合商標 例
文字と文字、図形と図形、図形と記号等と文字の二つ以上を合わせた商標。

*これらの商標は、特許電子図書館(IPDL)の「日本国周知・著名商標検索」により抽出。

 

商標と商号

商標と商号は名前が似ており、良く混同されるが、全く別のものである。商標登録と商号登記は全く関係がない。商標は商品や役務(サービス)につける名称であり、特許庁が所管している。

例えば、「SONY」は、商標で、保護法は商標法。その機能は商品・役務(サービス)の識別標識である。そのものは、文字・図形・記号等で構成され、保護期間登録から10 年(更新可)である。権利の範囲は、独占権が日本全土に及ぶ。
一方、商号は営業上自己を表示するための名称であり、法務局に登記する。商号の具体例は、「ソニー株式会社」その保護法は商法。その機能は、会社の識別標識である。その商号は、文字で構成され、保護期間は、無期限である。同一の市町村内で同一の商号は登録できない。

 

続いて、我が国の商標制度の特色を見てみよう。

① 登録主義

商標は特許庁で登録されて、初めて権利が発生(登録主義)。一方、アメリカ等では使用することにより権利が発生する使用主義をとっている。
② 先願主義

先に出願された、一つの登録のみが認められる。同日に同一の出願があった場合には、協議をし、それでも決まらない場合は、くじびきで決める。

 

③ 一商標一出願

出願は、政令で定める商品や役務の区分に従って、一または二以上の商品や役務を指定して、商標ごとにする。

④ 審査主義

出願された商標は、特許庁の審査官により審査を受けた上で登録される。

⑤ 審判制度

出願した商標が拒絶査定になり、それに対し不服がある場合や登録後に無効や取消処分を受け、それに対し不服がある場合は審判を請求することができる。

 

ところで、この商標関連で質問を受けることがある。気になる2つ3つを挙げてみる。

Q.我が社の社名のドメインネームを先に他人に取られてしまい、あろう事か、その者からそのドメインネームを使いたかったら、使用料を払うか買い取れと言われて困っている、との相談。

A.ドメインネームは、インターネット上の住所に当たるものである。ユーザーに対し会社をPR し信頼性を高めるため、商号や商標等の表記をよく使う。しかし、登録は早いもの勝ち。ドメインネームの不正目的による登録、使用に関しては、弁理士と弁護士で構成する紛争処理機関(例えば、日本知的財産仲裁センター等)に相談することがいい。申立人の正当性等が認められれば、ドメインネームの移転や取消しがなされる。

 

Q.商標を使用しようと思い商標調査をしたところ、既に商標権を誰かが取得していた。しかし、現在は使用していない様子である。当該商標を使うことができる方法はないですか、との質問だった。

A.この場合、方法は2つ考えられる。
① 権利者からその商標権の使用許諾や譲渡を受ける方法がまずある。しかし、足下を見られ、高くふっかけられることが多く、実現は不透明である。
②あるいは、登録された商標に対し不使用取消審判を請求する方法もある。しかしながら、不使用取消審判をするには、費用もかかる。できるかぎり円満に使用許諾や譲渡で解決するほうが得策である。

 

Q.日本で登録した商標は外国でも使用できるか?

A. 別項(2014年9月号)でもお話ししたが、知財権などの商標権は属地主義が適用され、日本で取得した商標権は日本国内でしか効力を発揮できない。もし、外国でその商標を使用したいなら、その外国でも商標権を取得しなければならない。

 

商標活用における唯一の最大最良の行動は、真っ先に、商標出願をすることである。つまり、攻撃は最大の防御、と言え、「備えあれば憂いなし」である。

 

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西郷義美 西郷国際特許事務所 (2)

西郷義美(さいごう・よしみ)…1969 年 大同大学工学部機械工学科卒業。1969 年-1975 年 Omark Japan Inc.(米国日本支社)。1975 年-1977 年 祐川国際特許事務所。1976 年 10 月 西郷国際特許事務所を創設、現在に至る。

《公職》2008 年 04 月-2009 年 03 月 弁理士会副会長、(国際活動部門総監)

《資格》1975 年 弁理士国家試験合格(登録第8005号)・2003 年 特定侵害訴訟代理試験合格、訴訟代理資格登録。

《著作》『サービスマーク入門』。商標関連書籍。発明協会刊 / 『知財 IQ」をみがけ』。特許関連書籍。日刊工業新聞社刊

西郷国際特許事務所

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2丁目8番地 西郷特許ビル

TEL : (03)3292-4411(代表) ・FAX : (03)3292-4414

Eメール : saipat@da2.so-net.ne.jp
Eメール : saigohpat@saigoh.com

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