次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

きっちりしなくていい。きっちりしないほうがいい。

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イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ!

きっちりしなくていい。きっちりしないほうがいい。

◆文:佐藤 さとる(本誌 副編集長)

 

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書店を覗くと必ず目に飛び込んでくるのが整理本と英会話本だ。

せいぜい100にも足らない母音と子音の組み合わせでできた日本語を使う日本人が、推計3000と言われる音の組み合わせで成り立つ英語をマスターすることはどだい無理な話だ。よってその弱みにつけ入った英会話本が毎年量産されるのはビジネスとして納得だ。だが細かい作業が得意な日本人がなぜ整理本に飛びつくのかは、謎と言えば謎だ。

整理整頓はモノづくり日本の現場ではしっかり根付いている。海外の視察団がモノづくりの現場でまず驚くのはその整理整頓具合だし、日本メーカーが海外進出した先での稼働率を左右するのは、整理整頓の定着率であるのは確かだ。

 

しか〜し、である。整理整頓はそんなにメリットばかりなのだろうか。本当にいいことづくめなのだろうか。そこに死角はないのだろうか……なんか、ひねくれオヤジのいちゃもんにも聞こえそうだが(はっきり言ってそうです)、この際、きっちりするためのコストや手間についてちょっと真剣に考えてもいいように思う。

 

 

ためしに「机をきっちりしておく労力」を考えてみる。

机をきっちりするためには、机の上に物を置かないことだ。それが書類なら選択は3つだ。①ファイルに綴じる ②捨てる③誰かに渡す、のいずれかだ。ファイルをつくってキャビネットにしまえば、見た目はすっきりするだろう。だが必要な時に書類を取り出すためには、中身に目を通し、それを正しいファイルに綴じておかねばならない。分類の仕方も問題だ。客先別にするか、重要度別にするか、どうするか……。

どうだろう? 机周りの整理一つとっても、手間がかかることが理解できよう。ワタシのような「終身ボランティア」のような立場ならその整理にどれほど時間をかけても影響はないが、ワタシの取引先さまなどをはじめとする給料の高い人がやっていたらコストはきっと青天井に近い。

 

でも、これがきっちりしない人だったらどうだろう。アメリカのコロンビア大学のエイブラハムソンフリードマンという先生は、そんなきっちりしない人たちを「だらしな系」と呼んだ。

だらしな系なら、急ぎの仕事でも処理は簡単だ。手を伸ばせば机の上に必要なものは置いてあるからだ。たいてい重要な書類はより近いところに置いてあるものだ。で、重要度の低い書類はたいてい奥の方に追いやられている。もちろん探し出すのに時間は要る。ただそれが「きっちり系」の人に比べても驚くほどの差にはならない。むしろきっちりしすぎていると、その弊害のほうが大きい。原則論にこだわりすぎて、変化に臨機応変に対応できず収益機会を失ったりする。また行動様式、手続きなどを重んじるため異質なものが排除されやすく、一旦攻撃や妨害を受けると弱かったりする。

それに比べたらだらしな系は強い。もともときっちりしていないから脆さと弱さは内包済み。よってその分柔軟だ。異質なものもどんどん取り込むので、結果、変化や攻撃にも強い。

 

事実、急成長企業、勢いのある企業はどこかしら異質なものを取り込む「だらしな系的パワー」を持ち合わせている。

考えてみれば、マイクロソフトやアップルのマックやiPhoneも最初からきっちりしたものなんか出たためしがない(と思っている)。ソフトはバグだらけだし、使ってみたら不具合がしょっちゅう。でもあんなに広がってしまった。

 

翻ってきっちり系が多いとされる日本企業はどうか。世界にインパクトを与えたという会社がとんと出なくなっているのは、このあたりにもあるのではないかと思うのはワタシだけか?

 

整理整頓は、やらないよりはやったほうがいい。おそらくそのほうが日本人、日本企業に合っている。

スティーブ・ジョブスの逝去後、日本の新聞がこぞって「日本のジョブス出でよ」と書き立てたが、コンサルタントの宋文洲さんは、「日本はジョブスが出ないところがいい」と喝破した

ナルホド、である。

少なくとも言えることは、きっちりしすぎた組織からは、世界的な商品やサービスは生み出せないということだ。

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。

 

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