次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

なぜ扇風機にラジオがつかなかったのか?

 

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イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ! その2

なぜ扇風機にラジオがつかなかったのか…

◆文:佐藤 さとる(本誌 副編集長)

 

01business_column初めて海外に出たのは四半世紀前だった。

当時の会社の社長が「今期は結構利益が出たので、税金を取られる前に社員旅行に行ってもらおう。行き先を考えてきてくれ」と、豪勢なことを言ったので、予算枠内で一番遠かったところに決めた。タイという南の国だった。

確かバンコクと郊外のパタヤをそれぞれ2泊ずつしたと思う。

その頃のバンコクの街中は、人とクルマが混在する、1960年代から70年にかけての日本のような状況だった。繁華街の中心部にはようやく24時間のスーパーができた頃で、街には旺盛な購買欲が蔓延していた。

 

とくに元気があったのが、家電ショップ。当時のタイは扇風機が「来ていた」ようで、どの店も目立つところを扇風機が占拠していた。

 

形は日本で売られている扇風機と変わりはなかった。暑さの本場のタイだから、やたら羽根が多いとか、巨大だとかはなく(当たり前である)、日本のものと同程度の大きさ、仕様のものが並んでいた。

 

ただ一つだけ違っていたのは、スイッチ部分にラジオのチューナー部がついていたことだった。そう、ラジオ付き扇風機なのだ。物珍しげに見ていたら、店員さんがしきりに「ナンバーワン」を繰り返して、一生懸命勧めてくれた。

タイ語は全く分からなかったが、ラジオ付きはタイじゅうのトレンドだったことは分かった。

 

ショックだった。なぜなら日本では当時もうクーラーとかエアコンの時代に入っていたが、ラジオ付き扇風機などついぞ聞いたことがなかったからだ。

ラジオ付き扇風機が生まれていたら、おそらくワタシは飛びついていただろう。

心地良い風とともにハワイアンな音楽がFMから流れてきたら、ハワイなんてもう二度と行かなくていいと思うだろう(行ったことはないが)。きっと。

ハワイ

そして次に頭に浮んだのは、なぜ日本の扇風機史にラジオ付きが生まれてこなかったかということである。なぜタイで実現できて、日本ではできなかったのか―。日本のラジオがデリケート過ぎて扇風機に組み込めない。あるいは逆に、扇風機がデリケート過ぎてラジオが組み込めないということなのか―。詳しい技術はわからないが、そんなことは無いだろう。

 

「そもそも扇風機にラジオなんてキワモノだ」と一笑に付すエンジニアの方もいるだろう(実際いた)。でもそういうニーズがあったであろうに、作り出せなかったのは事実だ。これだけモノづくりメーカーがひしめいている日本で、少なくともその発想はなかった。

 

 

日本のモノづくりのレベルは高い。あらゆる分野で最先端を競い合っている。最先端であり続けるために、とかくモノづくり企業は金と時間と心血をイノベーションのために注いできた。けれども、モノづくり企業はどんどん減っている。

 

確かにイノベーションは大事だ。「イノベーションこそが、未来を約束する…」という記事はしょっちゅう目にする。だがそのイノベーションに酔いすぎてはいないだろうか。

 

「なぜ1番なんですか? 2番じゃだめなんですか」とは、某大臣の名質問だが、モノづくりにおいてはやはり2番じゃだめだと思う。ただそのものさしが1つだけというのはマズイと思う。楽しさや美しさ、あるいはくだらなさ、バカバカしさというものさしがあってもいいはずだ。実は最近になって扇風機付きラジオは実現している。ネット上ではLEDライト付とか、充電機能付きとかかなりバラエティに富んでいる――つまり最先端を走る日本のモノづくりが、世紀をまたいでようやくタイにキャッチアップしたのだと言える。

 

欧米とかを見て1番、2番を見ていたらダメだと思う。見るなら1000番とか5000番とかもちゃんと見ないと……。

イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。

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2014年4月号の記事より
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突然ですが、クイズをひとつ。下記の豚と虎のやりとりは、いっとき世間を騒がせたニュースを風刺しています。さて、元ネタは何を指しているのでしょうか? このコラムが掲載されたのが、2013年12月号なので、その時期に取り上げられていたニュースになります。

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