次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

は満寿司 (東京神田) 村木健真|手の国ニッポン

 

プリント

手の国ニッポン

◆取材・文:大高 正以知

01_tanbou_factry01

 

手づくり、手空き、手間賃、手形、手付け、手仕舞い──。

もちろん英語や独語にもないわけではないが、とくに日本語には、労働や経済取引に関係する用語に、〝手〟の付く熟語が多く見られる。土を耕したり、木の実を取ったり、貝を剥いて食べるしか生きる術のなかった古代日本人にとって、唯一のビジネスツールが手だったことと、おそらく無関係ではあるまい。石川啄木が、

「はたらけど はたらけど猶(なお) わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」(歌集・一握の砂)

と詠んだのも、日本人ならではの感性と言える。これが(敢えてどことは言わないが)よその国なら、「ぢつと通帳を見る」  となるに違いない。

そこで今月の探訪は、江戸の文化が生んだニッポンの伝統的オリジナル手仕事、寿司職に注目してみた。

 

 

手は口ほどにモノを言う

ご案内の通り、今や先進国は言うに及ばず、新興国でも寿司屋の看板を掲げるレストランが少なくない。しかし日本人が経営するのは、そのうちの10%にも満たないという。そのためだろう、日本の伝統的な寿司ネタや調理法から大きく逸脱した寿司紛いの料理を、ぬけぬけと寿司と称して提供しているケースが、アメリカを中心に世界各国で見られる。いきおい本物の寿司を見たことも食べたこともない外国人は、それを寿司だと勘違いする。

そこでもうだいぶ前の話だが、これではいけないと日本の農水省が、〝日本食を名乗る創作和風料理〟と〝伝統的日本食=寿司〟を区別する制度を設けようと検討を始めている。しかしこれに反発したのが各国の大マスコミだ。一斉に「スシポリス反対」の声を上げたのだ。

 

冗談じゃない。ポリスでもアーミーでも構わないが、シャリのひと粒ひと粒にまで神経を尖らせ、指先の温度や圧にも繊細な注意を払って握る寿司は、日本の紛れもない文化である。国の文化を守って何が悪いのか。あれもこれもゴチャ混ぜにし、煮たり焼いたりしてボールに放り込むだけのカタカナ料理と、一緒にされては困るってもんだ。

 

1937(昭和12)年創業の老舗江戸前寿司店、「は満寿司」(東京神田)の二代目オーナー、村木健真さんに話を聞いた。

「江戸前寿司というのは、せっかちで気が短いくせに食感とか食味にうるさい江戸の下町っ子のために生まれた、ある意味で大衆料理なんです。大衆料理だから安くは出すんですが、かといってノロノロ出したり雑に握って出したら、何を言われるか分かりません(笑い)。そんな下町っ子の気質をよく知っているのが、ボクら江戸前寿司職人の手じゃないですかね。理屈じゃなく、そこは修行と経験です。どんな能書きを言ったり看板を掲げても、この職人の手には敵いませんよ」

ベラボーめ!これでちったぁ懲りたかい!

01_tanbou_factry02

プリント

【取材協力】は満寿司(はまずし)

東京都千代田区鍛冶2-12-10

TEL03-3254-0362

 

雑誌版の購入はこちらから

 

記者が選ぶおすすめ記事 クイズのヒント

TOKYOてやんでえ

落語家の寄席の楽屋のドタバタ劇を描いた映画「TOKYOてやんでぃ」。監督の人となりに迫る!

映画『TOKYOてやんでぃ』 神田 裕司監督 「映画で葛飾の町興しを!みんなが夢をみられる社会へ、そのための下町エンタメインフラ構想 」

 

akiyama01 (669x501)

東北屈指の真空装置及び各種機械メーカー。「子供っていうのはですね、使い古された言葉ですが、本当に国の宝なんですよ。この国の将来をどうするかっていうことは、その宝をどう磨くかっていう、そのひと言に尽きると思うんです」

秋山鉄工株式会社  奇人、変人、然れど武士──。経営者道というは、磨くこととみつけたり

 

赤ちょうちん

記者の通うやきとり屋さん。肉卸し直営店だから、用意できる希少部位の数々。神田で安くて美味しい!

美食探訪◆串焼き処彩酉 〝心残り〟 その一品に魅せられて

お問い合わせ

本記事に対する、ご意見ご感想をお待ちしております。
BigLife21に対するご感想などもお気軽にお問い合わせ下さいませ。
※メールアドレスが公開されることはありません。

最新号ご案内

詳細を見る »

こちらからご購入いただけます

 

アクセスランキング

立ち読み

「BigLife21」の記事の一部をPDFで立ち読みすることができます。

読者プレゼント

Top