依田紀基九段 囲碁 コラム依田塾②| 強く美しい『囲碁』を打つために
●囲碁コラム○ 依田紀基九段 依田塾②
強く美しい『囲碁』を打つために
◆取材・文:小川 心一
依田塾 塾長 依田紀基九段
新時代に突入した囲碁!
囲碁。いつの時代も変わらず人を魅了し続けるこのゲームは、時代の変化と共に、より多くの人に楽しんでもらうための進化を続けている。
例えばオンライン対局。その魅力は、家に居ながらにしていつ何時でも見知らぬ誰かと気軽に囲碁を楽しめること。ちなみに、囲碁サイトの最大手、「パンダネット」では、依田九段の「ネット依田塾」を開講中だ。強くなりたいが、地方在住などでなかなか指導を受けられない環境の方にはうってつけの講座だ。
また近頃では、脳を活性化させるといった効果に注目が集まり、PCや携帯ゲーム機のソフトとしても販売され、売れ筋となることも多い。まずはソフトで囲碁を覚え、自信がついたところでオンラインデビューといった、昔では考えられなかった入門の仕方も今では珍しくないそうだ。
思い立ったが始め時!
「囲碁はボケ防止にいい」と言われるが、これは囲碁が右脳を使ったゲームであるからだ。
右脳は感性を司り、左脳は論理や言語を司る。右脳は使えば使うほど発達し、左脳は年齢と共に衰えると言われている。つまり囲碁で右脳を鍛えれば、左脳の衰えをカバーできるのだ。
よく囲碁は将棋と比較されるが、囲碁は右脳左脳が8対2の使用頻度だと言われ、将棋は5対5だと言われている。ちなみにオセロは0対10だとか。これは「囲碁は一生強くなれる」ことの証明と言えるだろう。子どもはテレビゲームが好きだが、これは子どものうちは左脳の方が発達しているからだ。年齢を重ねるにつれ、人は右脳寄りになっていく。
つまり囲碁は、頭の柔らかい子供の頃からはもちろんのこと、年をとってからでも充分楽しめ、強くなれるゲームと言えるわけだ。
囲碁で勝つためには……
囲碁が勝負事である以上、やっぱり勝たなければつまらないと思うのは、人として当然の感情だろう。依田九段曰く、
「囲碁は黒と白を交互に打つので、相手よりも自分の石がより働いていれば勝てるゲームです。その石を働かせる方法に手筋(通常より大きな効果を挙げることのできる着手のこと)があります。手筋の反対を俗筋と言います。手筋を打つときに考えなくてはいけないことは、利き筋(そこに打てば相手は絶対に手を抜けないような場所)と手順です。手筋は利き筋を利用して打ちます。利き筋を実社会に置き換えると、人間関係ということになるでしょうか。
例えば会社の社長が、部下に命令を出しますね。これが利き筋です。この利き筋は、会社を効率よく発展させるために手順良く使わなくてはいけません。ただし社長が権力を笠に、仕事と全然関係のないことにまで利き筋を使おうとすると、俗筋ということになります(笑い)。僕が威張ることは損だし俗だと思うのは、こういう理由からです」
手筋を良くする画期的な理論誕生!
では、その大切な手筋をより良くするにはどうするべきなのか。
「筋が分からず自己流でやっていると上達に壁ができます。いい形をちゃんと学んで打つと上手くなる。ですから、しかるべき人に習った方が間違いなく上達が早いでしょうね。筋が悪いままでも、対局慣れすることでクラスが上がってしまう人もいますが、やはり限界があります。大人でもきちんといい筋を学べばその壁を越えるのが早いでしょう。
私は、皆さんに講義している中で筋が劇的に良くなる法則を発見しました。それまで筋の良し悪しは天性のものと思われていて、言語化・体系化できないと考えられていました。私はそれを言語化することに成功し、『筋場理論』と命名しました。これは囲碁界初の画期的なことなんです」
実際、依田塾でこの「筋場理論」を体得し、一気に上手くなった生徒は数え切れない。前号でも紹介した九段小学校(出場選手の大半が依田塾生)の「文部科学大臣杯囲碁団体戦」連覇が何よりの証明である。これから囲碁を始めようという方は、依田九段の著書「はじめてでもどんどん上達する囲碁の新しい打ち方」(主婦の友社刊)で、ぜひ「筋場理論」を知って欲しい。また、すでにヘボ碁でお悩みなら「筋場理論DVD」(依田塾楽天市場店で発売中)で、美しい碁を目指してはいかがだろうか。
★次号では、プロ棋士の世界についてお聞きする。
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「とにかく主人はびっくりするくらい何もできないんです。例えばガスコンロの火が消せない(笑い)。新婚当初は、私も急に仕事は辞められなかったので、地方に行くこともあったのですが、それでも新婚なんだから家事をちゃんとやろうと思っていました。主人が困らないように料理を作って、あとは温めるだけにして出かけるわけです。
で、帰ってみるととりあえず無事に生きてはいるんですが、ひげは伸び放題、ビール缶は散乱し、なんとガスコンロに火がついたまま。消し方がわからなくて何日か火が出っぱなしだったそうです。
◆2013年10月号の記事より◆
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●プロフィール
依田紀基(よだ・のりもと)九段…昭和41年北海道生まれ。昭和55年中学生でプロ棋士となる。以降、数々のタイトル戦で活躍。名人・棋聖・十段等、獲得タイトルは35に及ぶ。現在は対局だけでなく、自身が主宰する『依田塾』で指導に当たっている。
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