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○囲碁コラム● 依田紀基九段 依田塾①

君子のたしなみ「囲碁」の勧め

◆取材・文:小川 心一

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今、囲碁が熱い!

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囲碁がひそかなブームらしい。町の碁会所は激減してしまったが、多くの愛好者がオンラインの囲碁を楽しんでいるようだ。

また、井山五冠に代表される若手棋士の台頭もある。もう連載終了から10年を経過したが、爆発的人気を誇った世界初の本格囲碁漫画『ヒカルの碁』を読んで囲碁を始めた世代が、囲碁界を大いに盛り上げている。

そして、極めつけは囲碁ガールだ。「脳からキレイに」「女子力アップ」。こんなフレーズに誘われてうら若き女性が続々と囲碁の世界へ流れ込んでいるそうだ。

 

小誌ではそんな囲碁に大注目!

囲碁の総本山・日本棋院のお膝元で、未来の囲碁界を担うお子さんたちや、老後を充実させたい大人など、あらゆる人に囲碁を教える塾=依田塾を開講している依田紀基九段を訪ねた。

夏休みのこの時期、小中学生の大きな囲碁大会『文部科学大臣杯囲碁団体戦』が開催され、小学生の部では依田九段の長男・太陽くんが主将を務める千代田区立九段小が史上最多三度目の全国制覇。九段小の3選手は、全員依田塾で囲碁を学んでいる。依田塾は祝勝ムードにあふれていた。

 

 

広く認知されている囲碁の効用

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依田九段は、中学生の時にプロ棋士になったいわば囲碁エリート。数々のタイトルを獲得してきた。だが、その輝かしい実績だけではなく、天衣無縫な生き方でもファンの多い棋士だ。まずは囲碁の魅力をお聞きしよう。

 

「囲碁は思考力、集中力、記憶力、忍耐力、大局感などを養うことができます。また、相手と対面して囲碁を打つことは、コミュニケーション能力を高めるでしょう。韓国などでは囲碁を習うと頭がよくなると、多くの子供達が囲碁塾に通っています。日本でも囲碁の強豪校は名だたる進学校ということがそれを証明していますね」

 

脳トレブームの火付け役としても名高い東北大学川島隆太教授は、その研究成果として『囲碁は考える力を向上させる』を発表している。囲碁教室に通う子供達が3カ月間週1回1時間の囲碁を学ぶことによって認知機能が向上することが確認できたそうだ。これは囲碁教室に通うことによって幅広く前頭前野をはじめとする脳機能が発達したためと考えることができるという。

 

授業に囲碁を取り入れる大学も増加している。東京大や早稲田大、慶応大などに続き、青山学院大や埼玉大でも始まった。大学にとどまらず、本年度からは東京都中央区の小学校で本格導入。卒業後に役立つ論理的思考力や判断力を養うには、囲碁が適していると考えられているためだ。

「子供達に限らず、大人にも囲碁を推奨しています。囲碁は親睦の手段としても非常に優れています。子供からお年寄りまで誰でも生涯楽しめるので、見知らぬ人同士でも囲碁を通じてすぐ仲良くなれますから」

 

今や希薄になった家族や先輩後輩との世代を越えたコミュニケーション、そして国籍や人種を超えての交流に囲碁は大いに役立っている。

「面白いことに、体調や精神面に問題があると、それは囲碁に現れます。また、囲碁はリハビリにも役立つようです。回復を早める効果が期待できます。有名な脳外科の先生も推奨していますが、認知症の予防にも効果があるみたいですね。事実、ボケた棋士はいませんから(笑い)」

早期認知症予防の第一人者・脳外科医金子満雄先生の著書『囲碁はボケ予防の妙手』では、仕事一途の人はボケやすいことから、ゲーム、芸術などに生き甲斐を見出すことを提案している。

 

「そして、何と言っても囲碁は『人生の縮図』です。私は、あらゆることを囲碁から学んできたと言って過言ではありません。わがままな手を打つと、あとでしっぺ返しを食うことになるし、挨拶の手を打っておけば、それがいい形で返ってきたりするものです」

 

プロ棋士ならではの至言。その風貌や若かりし頃の破天荒なエピソードから『最後の無頼派棋士』とも言われる依田九段だが、囲碁に注ぐ愛情はゆるぎない。

囲碁をすることで得られる豊かな人生をあなたも体験してみてはいかがだろうか?

 

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★次号では、囲碁を学ぶ心構えと依田九段が開発した『筋場理論』についてお聞きする。

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「とにかく主人はびっくりするくらい何もできないんです。例えばガスコンロの火が消せない(笑い)。新婚当初は、私も急に仕事は辞められなかったので、地方に行くこともあったのですが、それでも新婚なんだから家事をちゃんとやろうと思っていました。主人が困らないように料理を作って、あとは温めるだけにして出かけるわけです。

で、帰ってみるととりあえず無事に生きてはいるんですが、ひげは伸び放題、ビール缶は散乱し、なんとガスコンロに火がついたまま。消し方がわからなくて何日か火が出っぱなしだったそうです。

町工場・中小企業を応援する雑誌 BigLife21 2013年9月号の記事より

2013年9月号の記事より

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●プロフィール
依田紀基(よだ・のりもと)九段…昭和41年北海道生まれ。昭和55年中学生でプロ棋士となる。以降、数々のタイトル戦で活躍。名人・棋聖・十段等、獲得タイトルは35に及ぶ。現在は対局だけでなく、自身が主宰する『依田塾』で指導に当たっている。
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