次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

探訪 – 葛飾から世界へ。知恵と発想で日本は復活できる

オビ 探訪

探訪 Factory in Katsushika

葛飾から世界へ。知恵と発想で日本は復活できる

 

◆文:櫻庭由紀子/工場撮影:高永三津子

 

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京成立石駅を降りると、下町らしい商店街。商店街を背にして住宅街を進み、学校や工場、倉庫がある通りの裏に、ひっそりと株式会社アツデンはある。

住宅地に溶け込む小さなアパートのような社屋から、まさか世界規模のシェアを持つ機器が日々生まれているとは、思いもよらないだろう。

 

葛飾区は、交通の便や工業用水の確保のしやすさなどの背景もあり、明治の頃より東京の代表的な工業集積地域であった。

しかし昨今、住宅と町工場が混在した活気ある風景は消えつつある。

 

そんな、町工場が衰退していく中で、同社代表取締役 村上英一氏は、自ら製品を発案・発明し、日本で開発、製造するというこだわりを貫き世界と勝負している。

 

葛飾の小さな町工場から世界へ。

葛飾のエジソンと、エジソンの思いを形にするモノづくり職人たちに出会った。

 

 

 

オンリーワン&ナンバーワン。町工場にしかできない世界一のイノベーション

株式会社アツデンが誇る「超音波流量計」は、世界一の性能とシェアを持つ。

「オンリーワンとナンバーワンにならないと気が済まない」という、同社代表取締役・村上英一氏の発明品だ。

そして、発明はメインの製品だけにとどまらない。

 

「この製品を開発、製造する機械装置、設備、全て自社で開発したものです。思いどおりのものを作ろうと思ったら、既存の設備ではダメなのです」

 

同社が全世界で特許を取得している自動溶着機ロボットや、クリーンルームも自分たちで開発、構築した。メイン製品の超音波流量計に付属する設備や部品も、同社が開発製造する。

設備から全てワンストップで提供することにより、「超音波流量計といえばアツデン」という図式ができあがるというわけだ。

 

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全世界で特許を取得している自動溶着機ロボット

 

 

 

アツデンの社員数は16人。「みんなオタク」というが、それは、ひたむきなモノづくりへの情熱を持つ職人達の集まりだと言えるだろう。

村上氏が持ってくる「無理難題」な発想を、職人たちは頭を使い知恵を絞り作り出す。

 

「この立石辺りにも、昔は面白い人間がたくさんいたんだ。でも、どんどんいなくなってしまったね」

 

あらゆる分野のエキスパートがいた町では、製品の開発、製造を町の仲間内だけでまかなうことができたという。

職人同士のコミュニケーションの中で、自然と発想力や技術力が養われ、世界に誇る製品が生まれていったのだ。

 

「こういう、昔から日本人が持っていた能力や技術を伝えていかないと、日本の製造業はダメになってしまう」という同氏は、沖縄に新たに工場を建設した。

 

「モノづくりの寺子屋」をコンセプトにした理由は、日本の町工場が持っていた能力と技術を継承していきたいという思いからだ。

 

「こんな小さい町の小さな会社だって、世界と渡り合うことができる。日本に居たってできるんだよ」

 

アツデンが大企業の追随を許さず、オンリーワン&ナンバーワンの地位を守り創造していくことができるのは、町工場だからこそ持てる瞬発力と、村上氏率いる職人集団の発想力・技術力に他ならない。

 

葛飾立石の小さな町工場から、日本のモノづくりの未来へ、大きな波が生み出されている。

 

 

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(左)製品の測定/(中上)工場内作業風景/(中下)ミーティングの様子/(右)開発風景

 

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沖縄に工場を建てたもうひとつの理由は「沖縄の海でクルーザーに乗りたい」。

所有するクルーザーを、自らが運転しオフを楽しむ。

「ゴルフはしないんですか?」の問いに「ゴルフではなくて敢えてクルーザーを選ぶ人間は、考え方も経済力も違う。そういう人間と付き合うのが面白いんだよ」と笑った。

 

 

オビ 探訪

tanbo_atsuden02◉株式会社アツデン(代表取締役:村上英一氏

〒124-0012 東京都葛飾区立石5-7-10

TEL:03-5698-8684

http://atsuden.com 

 

 

 

 

◆2017年2月号の記事より◆

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