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探訪 – 南魚沼の地で、人々が深く密につながる取り組み

オビ 探訪

探訪 Pride of “Shiozawa”

南魚沼の地で、人々が深く密につながる取り組み

 

◆撮影・文/高永三津子

 

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平成18年に完成した、蔵造りの塩沢信用組合(しおしん)本店

 

 

新潟県南魚沼市塩沢において、金融業務のイメージを変える取り組みを行っている塩沢信用組合(しおしん)。

はじめは認知度も低かった様々な試みは、5年の歳月を経て確かな実を結び始めている。

しおしん職員はほとんどが南魚沼で生まれ育ち、地域を愛し、良き未来を築いていきたいと願う集団だ。

街づくりからはじまり、文化活動にも参加。相談者や組合員一人ひとりと膝を突き合わせ、深く密接なつながりを大切に活動をしている。

黄金色の稲穂の収穫も終わり、空気の澄みはじめた秋の塩沢で、しおしん理事長・小野澤一成氏からお話をうかがった。

 

 

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古き良き文化を感じさせる、しおしん本店の内装

 

 

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田園風景(左)と塩沢駅

 

 

 

地元のちから、人のちからで、未来に誇れる「街づくり」を。

関東と越後をつなぐ三国街道。湯沢や石打丸山のスキー場を過ぎると、百名山・巻機(まきはた)山の麓に、江戸の風情薫る「牧之通り」を中心とした塩沢の街が広がる。

南魚沼といえばコシヒカリ、なかでも塩沢産の米はトップクラスの美味しさだ。そして名水・米どころに名酒あり。江戸時代からの蔵元も通りには並んでいる。

 

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国内最高評価の「南魚沼産コシヒカリ」。その中でも特に塩沢産は南魚沼の農家にもファンが多い程の美味しさだ。

 

 

 

かつての宿場町塩沢は、雪に晒すことで白さが増す越後上布や、反数が少ないことから幻の織物とされる塩沢紬、薬として用いられてきた薄荷などの産地としても賑わっていた。

しかし時代とともに宿場町としての面影は失われ、栄えていた商店街はいつしかシャッター通りに。

 

街自体の衰えを危惧した塩沢信用組合は、98年頃から地元商工会や商店経営者とともに街づくりの勉強会を開催し、議論を重ねていった。

そして塩沢の再生と子々孫々に誇れる街づくりを理念とした計画を事業化。

庇がせり出した雪国ならではの伝統・雁木造りの家並みになるよう景観デザインルールを策定し、私有地の供出協力や住民説明会といった幾多の課題を、市や町の職員も交え地元のちからで乗り越えていく。

 

そしてすべての建物を一新し、2010年に完成したのが現在の牧之通りだ。

 

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通りの名の由来は、江戸時代の塩沢商人・鈴木牧之(ぼくし)から。商いの傍ら、魚沼の生活を「北越雪譜」に綴った雪国の百科事典ともいうべき資料的価値のある本書は、当時のベストセラーとなった。

 

 

 

また、しおしんの取り組みは街づくりの参加にとどまらない。

金融業務のイメージを変える「平日17時までの店舗営業(水曜日は19時半まで)」や、職域サポート制度を利用する企業の全従業員に家計診断を行い、他行では八方塞がりの相談も親身に受け、健全化の手助けを考えるという。

過去の経歴から判断する融資基準ではなく、その人となりに基準を置いているそうだ。

 

ほかには女性営業チームの結成や、職員同士による対顧客を想定した「実践ロールプレイング研修会」なども行い、時に涙するような厳しいやりとりを模したりすることも……。

ほかにも様々な取り組みを、小野澤理事長は就任時から職員と共に、検討を繰り返しながら行ってきたという。

 

はじめは閑散としていた営業時間延長だが、徐々に定着し利用者も増え、そこできめ細やかな対応を受けた顧客がさらに顧客を紹介する、という循環が目に見えるようになったのはここ最近のことだそう。

さらに中高生への金融の特別授業を業務外に行い、牧之通りの中ほどにある蔵造りの本店では、観光客が増える土日にお茶の無料提供もしているという

 

地方創生の最中、地域に根を張ったしおしんのさらなる活動と、南魚沼の未来に期待が膨らむ塩沢への旅だった。

 

 

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しおしん本店では、職員が塩沢紬を羽織ってお客さまをお出迎え。左は小野澤理事長。

 

 

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全ての店に掲示されている「まちなみ景観協定合格之証」

 

 

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雪国ならではの伝統である雁木造りが連なる風景

 

 

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牧之通りにある大塚薬局。同店で扱っている「薄荷油」は虫除けやリラクゼーションに最適(中央)。また、素朴な味わいの「薄荷糖」(右)は塩沢土産として人気だ。

 

 

 

オビ 探訪

tanbo_shio10◉塩沢信用組合 (理事長:小野澤一成氏

〒949-6408 新潟県南魚沼市塩沢1221番地4

TEL:025-782-1201

http://www.shiozawa.shinkumi.jp/

 

 

 

 

 

◆2016年11-12月合併号の記事より◆

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