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探訪 – あたたかな心が行き交う瀬戸内の島々

オビ 探訪

探訪 Heart of “Kasaoka”

あたたかな心が行き交う瀬戸内の島々

 

◆撮影・文/高永三津子

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岡山県南西部に位置する笠岡市。

花畑や酪農をおこなう大規模な干拓地が広がる市街地と大小31の島々が連なる笠岡諸島を有するこの地域は、いにしえより瀬戸内海運の要衝でもあり、平家・村上水軍と歴史が折り重なる地だ。

国の天然記念物のカブトガニが生息し豊かな海の幸はもちろんのこと、城や神社などの歴史的建造物や大正モダン建築を支えた「北木石」、映画のロケ地にもなった懐かしい佇まいの木造建築校舎など、見所も沢山ある。

こまやかでぬくもりに溢れ、地域と人の繋がりを大切にする笠岡信用組合と、自然がそのままにある笠岡の島々を早い秋空のもと訪ねた。

 

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(左から)フェリーの上から望む笠岡諸島/酪農や花畑で有名な干拓地。ひまわり・ポピー・コスモスなどが広大な敷地に咲き誇る時季には大勢の観光客でにぎわう/真鍋島は漁師の島。懐かしい家並みが連なる。

 

 

飛び込みよりもクチコミを、非効率のなかに効率を。

「笠岡の海は瀬戸内海の潮境で、魚がとても美味しいですよ」と語るのは笠岡諸島の北木島が故郷の笠岡信用組合・山本理事長。
山本家は北木島で19代続く家柄で、代々海運業を生業とする家系の出身である。休日には島へ帰り、畑を耕し漁に出ることも時にあるという。

 

その北木島は国内有数の御影石の産地としても有名だ。

硬く目の詰まった良質の石は海運でいち早く搬送できる強みから、古くは城の石垣や、東京・丸の内界隈で多く見られる大正時代の名建築の資材として多用され、最盛期は7000人もの島民・100社を超える会社が立ち並んでいた。

 

「現在は海外の安価な石材に押され販売は落ち込んでいるが、その質の高さからオーダーは絶えることがない」と語るのは、明治25年創業鶴田石材株式会社の4代目で、笠岡信用組合の利用者でもある鶴田社長だ。

 

tanbo_kasashin_ishi鶴田石材では石の加工も行っている。傘立てや手水鉢、灯籠、名入れのコースターの販売も。一番右は鶴田社長。

 

 

丁場(採石場)へも案内していただいたが、そこには圧巻の風景が広がっていた。

見渡すことのできる200m近く掘り下げた穴の底で行われる採石作業。掘り終えた場所には雨水が溜まり、水深約40mもの池(丁場湖)となっている。

 

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跡地を含め、このような丁場が島中に点在しており、〝北木島といえばコレ〟とテレビなどで紹介されるほど、人工の風景として人気を集めているそうだ。今後は観光地化も予定しているという。

 

「代々地域産業に従事し島の発展を願う私たちに、会社がしんどい時もかさしん(笠岡信用組合)さんは寄り添ってくれました。また理事長とは同郷。大先輩から時には厳しくもあたたかい助言をいただいています」(鶴田社長)。

 

地域と共にあるかさしんのぬくもりを感じられた。

 

山本理事長から聞いた、こんな話を思い出す……江戸時代・享保の大飢饉の折、当時は薩摩(鹿児島)のみで植えられていた唐芋(サツマイモ)の栽培をこの地で奨励した「芋代官」こと井戸平左衛門。

この施策は、多くの窮民を救ったという。

「現在、人口の流出や高齢化が進む笠岡だが、この地域にいるからこそできることがあるはず」と地域発展に尽力を惜しまない同氏は、芋代官の思いを心に秘めながら様々な施策を打ち出し続けている。

tanbo_kasashin_imo「いも代官」の名がついた、かさしん独自の手土産・さつまいもの饅頭と洋菓子。理事長も味に太鼓判を押す逸品。

 

 

 

 

 

 

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かさしん営業マンは島々へ定期船で行き原付バイクで走り回っている。年金を届けたり、利用者の要望によっては買い物などのおつかいも引き受けるという。

顔と人の見える営業を重ね、そのような繋がりがあるからこそ利用者がさらに新規顧客を紹介してくれるとのこと。

 

「利用者様のお宅で昼食をご馳走になったり、台風で船が欠航になり笠岡に戻れない時は泊めていただいたこともあります」

 

なんとも人情味のある話を営業マンから聞いた。

 

 

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笠岡諸島・真鍋島、映画ロケ地にもなった木造の中学校舎。移住者により廃校の予定がなくなったそう。

 

 

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真鍋島は猫が多い。人懐っこいのは美味しいごはんを漁師さんからいただいて(失敬して?)いるからだろう。

 

 

 

オビ 探訪

tanbo_kasashin08◉笠岡信用組合 (理事長:山本國春氏/写真)

〒714-0081 岡山県笠岡市笠岡2388番地の40

TEL:0865-62-3100

http://www.kasaoka.shinkumi.jp/

 

 

 

 

 

◆2016年10月号の記事より◆

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