オビ コラム

フィンテックがもたらす未来

◆文:一村明博 (株式会社ZUU)

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「銀行がなくなる」「10年後までに紙幣はなくなる」─。

 

ここ数年、何かと話題になっているフィンテック(FinTech)について、欧米の大手金融機関トップが相次いでこうした発言をしています。

フィンテックは国内外の一部のメディアで「銀行の破壊者」と形容されていますが、こうしたトップの発言からも分かるように、多くの金融機関が危機感を持っていることは間違いないようです。

 

しかしフィンテックが変えるのは、金融機関のビジネスやあり方だけかというと、筆者はそうは思いません。

 

フィンテックは「金融(Finance)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語で、お金に関するあらゆる物事をICTによって便利にしようとする試みです。

連載第1回でも述べたように何も新しい技術ではなく、たとえばネットバンキングやネット証券もその一種ですし、新興国では銀行などの金融機関に口座を持たない若者同士が、フィンテックサービスを使ってお金のやり取りをしています。

実は私たちが、意識しようとしまいと、消費者としてフィンテックを利用しているのです。

 

それでは事業者、企業経営者として、フィンテックがもたらす未来についてどう考えればいいのでしょうか?

 

ある欧米大手投資銀行のトップは「これからはグーグルやフェイスブックとの競争になる」とも述べています。これはどういうことでしょうか。

アメリカで「ミレニアル世代」(1985-2000年ごろ生まれ)を対象にある調査が行われました。この世代は、生まれながらにしてネット、デジタルが当たり前の世代(デジタルネイティブ)といわれています。

 

この調査で、アップルやグーグル、アマゾン、フェイスブックなどのICT企業が金融サービスを提供すれば利用したいかをたずねたところ、7割以上が「利用したい」と答えたそうです。

お金に関するサービスを提供するのは、金融機関だけではなくなりつつあります。実際、日本でもYahoo!が決済アプリを提供していることは、その一例といえるでしょう。

 

ここで「ウチは金融サービスを提供するつもりはない」とお思いの経営者もいらっしゃるでしょう。

しかし自社でサービスを提供しなくても、フィンテックを取り入れることによって顧客の利便性を上げたり、事業コストを抑えたりすることは可能です。

 

たとえばスクエアのサービスを利用すれば、導入コストがかさむレジシステムを導入しなくても、スマホやタブレットを使ってクレジットカード決済が導入できます(同様のサービスは日本の企業も多数提供しています)。

こうした取り組みは事業を展開していく上では避けられないのではないでしょうか。

 

世界四大会計事務所の一角を占めるE&Yによると、2025年にはミレニアル世代が労働人口の7割を占めるようになるといいます。今後、デジタルネイティブが労働者としても消費者としても中心となります。

こうした世代は、デジタルやネット、ICTによって提供される便利なフィンテックサービスを当たり前のように利用し、その利便性を享受しています。

むしろそうしたサービスが利用できなければ不便だと考え、その会社のサービスを利用しなくなるはずです。

 

金融業界だけでなく、あらゆる事業の経営者にとって、「フィンテック」の流れをとらえ、自社のサービス向上に活用することは、経営者として欠かすことのできない姿勢と言えるのです。

 

 

オビ コラムZUU 一村氏

筆者プロフィール/一村 明博

東京都出身。成蹊大学法学部卒業。1993年、大和証券入社。富裕層や中小企業オーナーを主な顧客とする個人営業に従事し、常に全国トップクラスの営業成績を残す。入社3年目には全国NO.1を獲得。その後、2001年に松井証券入社。2004年、最年少(当時)で同社営業推進部長、そして2006年には同社取締役に就任。

高度かつ専門的な知識が必要とされる金融業界において20年以上にわたり500人以上の部下を育てた人材育成のプロフェッショナル。

〈お問い合わせ先〉 info@zuuonline.com

 

株式会社ZUU

http://zuu.co.jp/

東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9F

 

 

 

◆2016年10月号の記事より◆

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