次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
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見本市と模造品 – もしも自社製品の模造品を見つけたら…

オビ コラム

【賢者に学べ!】

見本市と模造品 – もしも自社製品の模造品を見つけたら…

◆西郷国際特許事務所 所長/弁理士 西郷義美

 

 

saigou09_image海外で見本市を視察していたら、ひょっと立ち寄ったブースで、当社の製品とウリ二つの商品が展示されているのを発見した。

それを発見するや逆上してしまい、下手な英語で、しかも日本語とちゃんぽんで、そこにいた販売員に文句をつけた。

 

なかなか勇気があってよろしい。日本人も、次世代の日本人はそこまで成長したか。しかし……。

 

その後、帰社後上司に報告し、侵害処理の手順に入ったが……、結果は散々たるものだったと聞いた。

現地の模倣業者は、証拠隠滅は当然のことで、やりたい放題であったとのことである。当然である。

 

逆上する気持ちも分かる。しかし、そこでなぜ、大人の対応が出来なかったか。内情視察、偵察に徹するのである。バイヤーを装うなどしてである。

 

侵害の対応は、以下のようにして行う。

 

模倣品の存在は、自社製品の売上を損ない、信用を低下させ、商標自体のイメージをダメにする。そのため、毅然とした対処が必要となる。

ところが実社会では、他人の商標を自己の商号として使用したり、あるいは他人の商号を自己の商標として使用したりするなど、さまざまな新しいタイプの模倣事件が発生している。

 

また、模倣品の流通手段が複雑になり、その隠蔽も巧妙になってきている。そのため、侵害者の確定が困難になり、模倣品を排除するための対応もますます難しくなってきている。

したがって、権利者は、模倣品の現状と、日々変化する新しい模倣行動の情況を的確・迅速に把握し、効果的な対策を取る必要がある。

 

これらの対策は、その方策の緻密度やスケールに応じて権利者側の負担も増大する。どの程度の負担まで可能かを覚悟して、執るべき模倣対策を選定する必要が生ずる。

 

模倣品排除の実行ステップを以下に述べる。

 

まず、模倣品排除の前提段階として、特許権などの知財権の存在が、絶対的に必要となる。つまり、その国の法律によって保護される知的財産権を、排除する側が有することが大前提になる。

 

次いで、準備段階として事前調査を行う。対策を実施する前に、把握しておくべき事項が種々ある。

 

必要な情報としては、模倣品の製造の状況、販売ルート、販売状況、模倣業者に関する情報などである。このような調査結果は、証拠としても使用できるし、対応策の選定作業においても、大いに活用することが出来る。

 

証拠の収集は極めて重要である。準備もせずに、模倣業者に対し真正面から対抗すると、前述したように、模倣業者に関連証拠を隠蔽されるおそれは十分にある。

 

無計画なずさんな行為は、その後の対応に不利な影響を与える。収集・確保すべき証拠には、模倣品の現物はもちろん、その他カタログ類、関連するものの写真、製造や販売の記録書類、及び領収書などがある。

 

事前調査が終われば、取るべき対策の選定作業に入る。

 

執るべき対策としては、警告書の送付、交渉の開始、厳正声明の発表、訴訟などがある。状況に合わせ、これらの全てを、あるいは選択的に実施することになる。

 

実行段階として、警告書の送付と交渉作業がある。

 

権利者は、所有する権利や、模倣業者の侵害行為及び要求を記載した警告書を送付する。その結果、可能であれば、模倣業者と直接の交渉を通じて、侵害行為の停止などを要求する。

 

模倣業者が権利者の要求に応じた場合は、迅速に、低コストで事件を解決することができる。

 

しかし、権利者を無視する場合も多いので、その場合には、速やかに訴訟などの他の対応策を執る。厳正声明の発表は必須である。

 

知財権利者は、業界の新聞などに、「厳正声明」を発表し、立場を明らかに出来る。厳正声明の発表は消費者への注意喚起として重要である。

 

内容は、保持する知財権利の説明、正規の販売店、本物と偽物の相違、権利者としての態度などであり、対応スタンスを積極的にPRし、消費者の信頼を勝ち取り得る。他の手段と同時に執る必要がある。

 

交渉も暗礁に乗り上げるようなら、訴訟である。

 

知的財産権の訴訟は、知財権を保護するための最終手段かつ、最も強力なものである。模倣業者に決定的な打撃を与えることができる。だが、時間と費用がかかる。

 

オビ コラム

西郷国際特許事務所 所長/弁理士 西郷義美●筆者プロフィール/西郷義美
1969年 大同大学工学部機械工学科卒業
1969年-1975年 Omark Japan Inc.(米国日本支社)
1975年-1977年 祐川国際特許事務所
1976年10月 西郷国際特許事務所を創設、現在に至る。
《公 職》
2008年4月-2009年3月
弁理士会副会長(国際活動部門総監)
《資 格》
1975年 弁理士国家試験合格(登録第8005号)
2003年 特定侵害訴訟代理試験合格、訴訟代理資格登録。
《著 作》
『サービスマーク入門』(商標関連書籍/発明協会刊)
『「知財 IQ」をみがけ』(特許関連書籍/日刊工業新聞社刊)

 

西郷国際特許事務所(創業1975年)

所長 弁理士/西郷義美 副所長 技術/西郷竹義
行政書士/西郷義光
弁護士・弁理士 西郷直子(顧問)
事務所員 他7名(全10名)
〈お茶の水事務所〉
東京都千代田区神田小川町2-8 西郷特許ビル
TEL 03-3292-4411 FAX 03-3292-4414
〈吉祥寺事務所〉
東京都武蔵野市吉祥寺東町3-23-3
TEL 0422-21-0426 FAX 0422-21-8735
Eメール:saipat@da2.so-net.ne.jp
saigohpat@saigoh.com
URL:http://www.saigoh.com/

 

 

 

◆2016年9月号の記事より◆

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