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実例に学ぶ経営のツボ – 社長の突然死が招く妻の悲劇

オビ コラム

実例に学ぶ経営のツボ

社長の突然死が招く妻の悲劇

◎企業活性パートナーズ株式会社/代表取締役社長 大塚武樹

keiei_tsubo自分が突然死んだら──会社は存続し、奥さまは幸せに暮らせると自信を持って言えますか?

オーナー経営者が亡くなった後、残された奥さまの身に降りかかったトラブルを紹介します。

 

一件目は、拙著『会社売却の心得28カ条』(幻冬舎刊)でも取り上げている事例です。

あるソフト開発会社のオーナー社長が急逝され、専業主婦だった奥さまが突然、代表取締役会長に就任するとともに、銀行との連帯保証契約を引き継ぐことになりました。

営業の最前線に立っておられた社長がいなくなり、売上は減少し、資金繰りはそれ以上のペースで急速に悪化しました。

彼女は要請されるままに、個人の預金を取り崩して会社に資金を投入しました。預金が底をつき、ついには自宅も売ろうかというタイミングで、私のところに相談に来られたのです。

調査の結果、ある取引先に利益を中抜きされていたことが判明しました。後任社長とその取引先が、会社を乗っ取ろうと画策していたのです。

いずれにしろ、M&Aどころではありません。債務トラブルに詳しい弁護士を紹介し、そのアドバイスのもと、彼女は会社との関係を断ちました。残された自宅を守りきり、本件は決着をみたのです。

 

もう一件は友人からの相談で、「主治医の女医さんが、亡夫の会社を引き継いで大変なことになっているので、助けてやって欲しい」というものでした。

この会社は中堅優良メーカーでした。先ほどのケースと同様、ご主人が急に亡くなり、女医さんが代表取締役会長に就任、銀行との連帯保証契約も引き継ぎました。前ケースと違うのは、後任社長に、外部から招聘した人物Aが就任していたことです。3年以上、彼女は会社に資金をつぎ込み続けました。その総額は数億円にのぼります。

会社売却を依頼された私は、お付き合いのある上場会社に提案しました。実は、両社は過去に取引関係があり、その上場会社の社長と亡くなられた前社長は旧知の間柄でした。買い手候補の社長は興味を持たれ、工場を見学されました。

その感想は「あの工場は稼働しているように見えるが、死んでいる。社長A氏はこの事業については、ド素人だ」というものでした。

詳細に調査し判明したのは、彼女がつぎ込んだ資金は外部委託の開発費の名目で全て外部流出してしまっていたということです。

彼女とA社長を前にし、私は、「法的整理しか手はない」と申し上げました。その途端、 A氏の温厚な顔が、みるみる鬼の形相へと変貌したのです。

後日聞いた話では、AとAが外部から連れてきた部下は、会社の資産を収奪する裏の組織の一員だったそうです。
ここで強く申し上げたいことは、奥さまが全く事業に関わっておられない場合は、「自分が急死しても連帯保証の判はつくな」「経営に参加せず、専門家の助言を受けながら、株主として会社を外部からチェックせよ」と奥さまにお伝えいただきたい、ということです。

 

「夫がせっかくつくった会社だから」と軽い気持ちで奥さまが経営に参画し、優良企業がダメになっていった例は数多くあるのです。

 

オビ コラム

●著者プロフィール

大塚武樹(おおつか・たけき)
企業活性パートナーズ株式会社代表取締役社長。昭和30年12月生まれ。東京大学工学部卒業。スタンフォード大学客員フェロー。昭和53年4月、山一證券株式会社入社後、株式会社レコフ主席執行役員などを経て、平成24年6月、企業活性パートナーズ株式会社代表取締役社長就任(現任)。通産省「店頭市場研究会」「MBO研究会」「企業価値研究会」各委員歴任。M&Aのディール責任者として100件以上の案件成約に関与。電機業界、ソフト・情報産業、流通、住宅、金融、外食、エネルギー、機械等、幅広い業界のM&Aを経験している。

 

 

◆2016年6月号の記事より◆

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