次世代の産業を担う【中小企業】初めて明かされる秘話
日本再生の鍵を探せ 企業x学校物語

【特別コラム】 ふるさと創生について考える(前編)

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【特別コラム】

ふるさと創生について考える(前編)

文:池田文夫(福島県伊達市出身)

 

 現在の日本は少子高齢化や東京一極集中化、地方の過疎化など諸問題を抱える中、地方創生に取り組んでいる地方自治体、企業、大学、金融が一体となり、官民連携で成長戦略を推進しております。

 地方創生は元気で明るく楽しい「ふるさと創生」が出発点です。霧島昇「誰か故郷を想わざる」、五木ひろし「ふるさと」、海援隊「故郷未だ忘れ難く」、文部省唱歌「故郷」…等々、生まれ故郷を題材にした歌は数限りなくあります。「ふるさと」「故郷」という言葉の響きは何故かハートにホンワリと残るのであります。

 

【特別コラム】ふるさと創生について考える(前編)01

 

●現状認識と今後の具体策

 私が生まれた伊達市は福島県中通りの福島市の隣で阿武隈川が流れております。平成18年に伊達町・梁川町・保原町・霊山町・月館町が合併して誕生しました。人口は6万人強で40年間で10%人口が減少しております。伊達市GDPは3千5百億円程度(平成16年)。農林水産業生産高は144億円で、梁川町五十沢の「あんぽ柿」は開発地だけに全国ブランドになっております。「五十沢のあんぽ柿」を再度商標登録するとともに〝カロリーが低くビタミンたっぷり・ダイエット美容フルーツ〟として通販会社と提携してみてはどうでしょう。

 また、桃も福島市に次ぐ県内2位であり、全国5位の山形県を上回る収穫高です。

 

 那須町に「アイス工房ももい」というアイスクリーム販売所があります。経営者は桃井兼夫君で私と同じ65才の同級生の従兄弟であります。

 桃井牧場は乳牛250頭を飼育し牛乳メーカーに売っておりましたが、観光地として発展していく那須でもっと儲かる方法はないかと考えた結果、行き着いたのが自分の牛乳を商品化して販売する搾りたてアイスクリームであります。実家の桃井家は桃、ぶどうなどを栽培しており、正規品は市場に出荷し、半端物や傷物はアイス工房ももいに売り、両方ハッピーな関係になっております。桃井一族は事業家です。付加価値の高い6次産業化は今後の日本の農業のあり方を示しております。伊達市の特産品であります桃で、イベント・クッキングコンテストを開催してみてはどうでしょうか。商品化して東南アジアへ輸出するのです。TPPをチャンスと捉えるのです。

 

●観光産業

【特別コラム】ふるさと創生について考える(前編)03

 経済波及効果・雇用創出効果が極めて高い観光産業は伊達には残念ながらありません。インバウンド(訪日外国人)は多分今年は1800万人に上るでしょう。こうした観光の力を地方創生に結びつけるためにはどんな方法があるのか考えてみたいと思います。

 

 国立公園のような風光明媚な自然や世界文化遺産のような名所旧跡もありません。B級観光スポットとして、霊山(標高825m)ぐらいです。国の名勝ですがその上に、特別名勝があります。国の史跡でありますが、特別史跡ではありません。但し中高年が登り易い山として2004年に選定された新日本百名山に入っております。遊歩道がよく整備されており、周遊コース(半日)、縦走コース(1日)と2つのコースがあります。ゴツゴツとした奇岩だらけで、特に霊山で最も高い東物見岩は360度全方位が見渡せ、晴れた日には遠くに太平洋を見ることができ、目を転じて反対を見ますと吾妻、安達太良連峰という大自然の雄大なパノラマです。縦走コースには霊山寺跡(平安時代には北の比叡山と呼ばれました)と南北朝時代には北畠顕家が霊山城を築き、足利尊氏と対立します。北畠顕家は「歴女」に大人気ですので、インバウンドより「歴女」をターゲットにしたマーケティングが良さそうです。

 

 ハードボイルド作家・北方謙三が書いた「破軍の星」のラストにはこう書いてあります。

 「私は、どんな時代でも、夢に向かって駆けていたい」

 「それでこそ、わが殿」

 「本陣を抜こう。そして陸奥の大地までひた駆けよう」

 「歴女」の好む「爽やかさと清々しさ」があります。GWの霊山山開きに合わせて「北畠顕家フェア」を開催したらどうでしょう。SNSで全国に発信、ストーリーを考えてみましょう。

 

●食べる

【特別コラム】ふるさと創生について考える(前編)04

 「阿武隈の紅葉漬」という長期保存を可能にした地域伝承の発酵食は地方ブランドです。鮭の赤い身と糀の真白さは酒の肴として欠かせません。口の中で生鮭のような食感と糀の甘い香りがハーモニーを奏でますので一度お試し下さい。

 

 地方ブランドとして成功しているのが梁川町に本社を置く伊達物産が開発改良した「伊達鶏」です。もともとはフランスから輸入された鶏で、日本在来種である日本三大地鶏「名古屋コーチン」「比内地鶏」「薩摩シャモ」とは異なり、業者が独自に名前をつけた銘柄鶏です。商品特徴はブロイラーでは柔らかすぎて物足りない、でもシャモは少し固すぎるとの消費者の声に合わせた、独特の「鶏臭みが少ないシャキシャキとした歯ごたえ」の肉に仕上げております。ブランド名はグルメだった伊達政宗と伊達地方に因んで「伊達鶏」と銘々しました。

 商品開発も積極的で「伊達鶏チキンカレー」「伊達鶏麻婆」「伊達鶏雑炊」「伊達鶏にんにく味噌」と次々に6次化商品を作り上げており、最近でも伊達鶏削り節という一風変わった削り節を商品化しています。異業種とのコラボレーションにも乗り出し、山形県の加工会社風味堂と「伊達鶏サラミカルパス」を売り出しました。

 第2、第3の伊達物産を期待したいものです。

 

●カイコ(蚕)

【特別コラム】ふるさと創生について考える(前編)05

 かつて伊達地方の主力産業であった養蚕業ですが、第二次大戦後、化学繊維の普及により次第にその数を減らしていきました。そこで、再度カイコの復権にチャレンジしてみてはどうでしょう。近年は特徴ある繭(まゆ)づくりがどんどん開発されており群馬県の「はくぎん」や新潟県で開発された「紙シルク製造装置」はほとんど人手をかけずに効率的に繭を製造することができるそうです。

 

 「伊達シルク工房」なるブランドを作り、原料から最終製品まで一貫して行い(6次産業化)、伊達に根ざした「モノづくり」として売り出し「シルクの里 伊達」体験ツアーを企画してみましょう。(後編へ続く)

 

【特別コラム】ふるさと創生について考える(前編)02

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◆2016年2・3月号の記事より◆

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