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イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ! その23

社員100人超えたら社内報をつくれ! なぜならば…

◆文:佐藤さとる (本誌副編集長)

 

ビジネスコラム23

 意外と反応がいいので、社内報の話をまた展開しようと思う。

 確か前は社内報の効果について縷縷述べ、新入社員一人入れるなら、社内報づくりにその費用を回したほうががいい、と提案させてもらった。

 で、「本当か?」という疑問を呈する一部の読者には、「嘘だと思うなら、つくってみればいい」と、冷血漢のような言葉を述べてしまった。

 失礼した。私は、決して冷酷なラスプーチンのような人物ではない。どちらかというとマザー・テレサ派だ。ご容赦いただきたい。

 

 確かに、社内報というものの必然性を感じない人にはいくら重要だと言っても伝わらない。フランス人が初めて日本を訪れて、和室のなかで日本のすだれを見たときくらい分からないものだ。ややこしい比喩だが、人間の脳は言葉として知らないモノや、その機能を理解していないモノについては、それを見ても存在を認めない、ということを言いたいのである。

 

 そこで、問題はどのくらいの規模の会社から社内報が必要になってくるか、だ。

 私の見立てはだいたい100人規模以上。150人以上だったらマスト、である。

 根拠は2つある。

 

 1つはダンバー数と呼ばれる数だ。ダンバー数とはイギリスの人類学者ロビン・ダンバー(本名はロビン・イアン・マクドナルド・ダンバーと長い、ので略す)が唱えた、霊長類の群れの個体の最大値である。

 ダンバーによれば、ゴリラやチンパンジーなどの霊長類の群れの構成数は、その大脳皮質の大きさに比例するという。

 彼の主張によると、テナガザルが15、ゴリラが35、チンパンジーが65で、ホモ・サピエンス、すなわち我々人間は150というのが理論値だ。実際に彼が、ニューギニアやグリーンランドなどの先住民族の21部族の構成人数を調べたところ、1集落の平均が148・4人であることを発見した。

 すると彼の出したこの数字に、「もしかしたら、これってそうかも」という事例がたくさん上がってくるようになった。

・各国の軍隊の精鋭部隊はだいたい130〜150名くらいで、200を超える規模はない

・軍艦の乗組員は150人程度

・古代ローマ軍では「100人隊長」と呼ばれるように100人単位で動くのが最も機能的だった

などなどだ。

 

 一方、ネット社会でもこのあたりの数字がコミュニケーションの限界と言われはじめた。それが「5―15―50―150―500」という法則。

 これは人間関係の親密さを表した数字で、最初の5は精神的支えになってくれたり、困ったときに助けてくれる数。家族の構成員に近い数だ。

 次の15はシンパシーグループと呼ばれる人たちのことで、家族や親友ではないけれど、その人が亡くなったらひどく悲しむような人の数だそう。

 で、次の50は、比較的頻繁にコミュニケーションを取る人の数。

 150は先のダンバー数で、一人ひとりの顔を覚えていて、名前としっかり一致できる数だ。その上の500人は弱いつながりと言われる人の数で、会ったことはあるが、それほど親しくない数。

 つまり顔と名前がしっかり一致して、名前を言われて、「ああ、あの人ね」と性格や出で立ち、立ち居振る舞いなんかがすぐ浮かぶ限界が150ということだ。

 よくフェイスブックで「友達が500人超えた」とか、「1000人いるよww」とか自慢している人がいるが、おそらくそのなかの大半は、名前を認知している程度で、お友達というほどのコミュニケーションは取れていない。逆にネットのなかで良好な関係性を維持していくのであれば、お友達は150人までにとどめておくべきなのだ。

 

 他方経営学的組織論のなかでも、中小企業の社員数が150を超えたら、社長が社員を把握することは不可能、ということも言われ出している。

 でこれらの法則からすると50人は頻繁にコミュニケーションを取れる機能的な数で、150人が意思疎通ができる限界だということが推測される。

 でワタシの結論である。50人以上の企業では、コミュニケーションを補強、活性化させる何らかのツールが必要となりはじめ、100人超えたらイエローゾーン。あなたの会社には社内報が要る。150人は臨界値なので、そこから準備しては遅い──。

 

 イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。

 

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◆2016年2・3月号の記事より◆

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